2024年3月17日日曜日

いえらぶ、不動産業界の未来を切り拓く--生成AI。宣伝用AIキャッチコピーとAI間取り作成にAIを活用中でがっちり儲けましょう!

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活用率11.7%を増やす秘訣とは

 賃貸仲介、賃貸管理、売買仲介業に対し、業務支援サービスを展開するいえらぶGROUPは、2月に開催された「NIKKEI PropTech Conference『不動産イノベーション最前線』」に、いえらぶGROUP 常務取締役の庭山健一氏が登壇。「不動産テックで変わる日本の不動産売買」をテーマに講演した。

いえらぶGROUP 常務取締役の庭山健一氏
いえらぶGROUP 常務取締役の庭山健一氏

 庭山氏は、不動産業界におけるテクノロジー活用に対し「各社で導入するのは限界がある」「新たなテクノロジーは社内で浸透しにくい」という現状を踏まえ、自然と最新のテクノロジーが使える環境の構築について説明。また、先に発表した不動産売買プラットフォーム「キマール」における事業譲渡の背景などを話した。

 いえらぶGROUPは、2008年に設立。不動産テック企業で、バーティカルSaaS「いえらぶCLOUD」をはじめとする業務支援サービスを提供している。1月には売買版「業者間サイト」「スマホで物確」「ぶっかく自動応答」もリリースし、賃貸、管理に加え、売買領域におけるDXにも取り組む。

 冒頭、庭山氏は「2023年は生成AIという言葉をたくさん耳にしたと思う。有名なところだと『ChatGPT』で、活用すると生産性の向上に結びつくということだが、実際、生成AIを含むAIが、業界にどんなインパクトを与えるかについて話していきたい」とした。

 生成AIのメリットについて庭山氏は「テキスト作成が自動でできる生成AIを不動産業界として利用しない手はない。不動産業界はポータルサイトや自社のウェブサイトに物件を掲載し、反響を取るビジネスモデル。やみくもに物件掲載するだけでは対抗ができず、検索エンジン対策が必要になる。そのため、各社ブログで記事を作成し、そこからお客様の反響を取ることが当たり前のように行われている。この部分でChatGPTは有効に使える。さらに意外に知られていないが、画像を読み込むことで間取りもAIで作れる」と活用方法を明かす。

AIを使い、ブログや間取りの作成ができる
AIを使い、ブログや間取りの作成ができる

 加えて「今までは各種のデータをピックアップしてきて、表示する程度のものしかできなかったが、このデータを組み合わせ、自動で文言を作るのはさすが。大変便利なので、さぞかし業界内でも期待値が高いだろうとクライアントにアンケートを取ったところ、使いたいが59.3%だった。これに対し、使っているかとの問いに、使っていると回答したのは11.7%にとどまった」(庭山氏)と業界内の評判を説明する。

いえらぶGROUPがクライアントに向けに実施した生成AI活用のアンケート結果
いえらぶGROUPがクライアントに向けに実施した生成AI活用のアンケート結果

 業界内からは「便利なのはわかるけれど、使い方がよくわからない」という声が聞かれるという。それに対し庭山氏は「どんなテクノロジーが登場しても、現場で使われなければ、そのテクノロジーに何の意味もない」と言い切る。さらに「各社での導入には限界があり、社内でも浸透しにくい。そんな時こそ、SaaSのいえらぶCLOUDを使えば、自然とAIが活用できる環境を整えられる」とした。

 セッションの後半では、2月16日に発表したリマールエステートの「キマール」の事業譲渡について話した。庭山氏はキマールを「一人のファンとして、キマールはすごいなと感じていた。AIが多分に使われていて、B2B領域ですでにシェアも獲得している」と評する。

 リマールエステートは、現職の衆議院議員でもある赤木正幸氏が代表取締役社長を務める不動産テック企業。赤木氏は一般社団法人 不動産テック協会の初代代表理事も担い、不動産テックへの造詣が深い。

 赤木氏は「キマールは不動産売買に特化したシステム。すでに約6年間にわたりSaaSとして提供しており、新規の人脈構築や物件情報を入手できるだけでなく、CRM(顧客管理)としても使える。特徴的なのは、顧客が普段どんな物件を見ているかを踏まえて、個別のおすすめ物件をマッチングできるところ。AIを駆使して、作り込んでいる」とキマールについて説明した。

「キマール」
「キマール」

 今回、いえらぶへの事業譲渡については「衆議院議員になり『もう不動産テックに興味がないのでは』と言われることも結構あるが、そんなことはない。ただ、政治家として法制度を変えていくような部分に力を入れていきたいと考えている。議員になって2年が経ったが、少しずつできることも増えてきた」(赤木氏)と政治家としての軸足に重きを置く。

 庭山氏にいえらぶの印象を聞かれると「設立から16年目の不動産テックの老舗企業。なのにといってはなんだが、社内では若い方がいきいきと働いていた。事業を譲渡する上で、信頼できる会社にお願いしたいという思いがあり、いえらぶに引き継いだ」(赤木氏)とコメント。さらに「譲渡という形ではあるが、今後もパートナーとなって一緒にこのサービスを広げていきたい」と続けた。

 今後は、いえらぶCLOUD・キマールそれぞれの強みを組み合わせて、不動産業界全体の効率化を推進していく。庭山氏は「現状使っているお客様はもちろん、ご検討いただいている不動産会社様にもぜひ使っていただきたい」と期待を寄せる。

 赤木氏は「SaaSの導入で大事なのは簡単に使えるシステムであること。機能が多いのに越したことはないが、マニュアルを見ながら、都度教わりながらというシステムでは現場で使えない。直感で使えるUIであることが、不動産業界で使われるSaaSの一番の条件だと思う」とした。

左から、リマールエステート 代表取締役社長の赤木正幸氏、いえらぶGROUP 常務取締役の庭山健一氏
左から、リマールエステート 代表取締役社長の赤木正幸氏、いえらぶGROUP 常務取締役の庭山健一氏

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