https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2403/15/news070.html
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東北大学と東邦大学の共同研究グループは、らせん磁性体のねじり方向「キラリティー」を室温で制御/検出できる、「マンガン金合金(MnAu2)薄膜」を開発した。ビット間干渉がなく高集積かつ堅固な磁気メモリを実現することが可能となる。
室温かつ簡便な方法で書き込みや読み出し操作が可能に
東北大学金属材料研究所の増田英俊助教や関剛斎教授、小野瀬佳文教授と、東邦大学の大江純一郎教授らによる共同研究グループは2024年3月、らせん磁性体のねじり方向「キラリティー」を室温で制御/検出できる、「マンガン金合金(MnAu2)薄膜」を開発したと発表した。ビット間干渉がなく高集積かつ堅固な磁気メモリを実現することが可能となる。
磁気抵抗メモリ(MRAM)などのスピントロニクス素子は、強磁性体の磁化方向によって情報を記憶できるため、不揮発性や低消費電力といった特長がある。ただ、周囲に発生する磁場の影響で、磁石同士が相互作用し、ビット間で干渉が起こる。このため、高集積化が難しいといわれてきた。
研究グループは今回、らせん方向の自由度がある「らせん磁性体」に着目した。強磁性体とは異なり、各磁気モーメントがつくる磁場が打ち消しあい、全体として周囲に磁場が発生しないため、高集積化が可能である。半面、磁場をつくらないことで、キラリティーの書き込みや読み出しが難しいとされてきた。
らせん磁性体の中で注目したのは、室温で安定しているマンガン金合金「MnAu2」である。実験で高品質の MnAu2単結晶薄膜を作製することに成功した。これに室温かつ弱い磁場中で電流パルスを印加したところ、キラリティー(右巻き、左巻き)を繰り返し反転できることが分かった。
また、MnAu2と白金(Pt)の2層デバイスにおいて、キラリティーを電流と垂直方向の電圧として検出することに成功した。この方法を用いると、磁場がなくてもキラリティーを検出できることが分かった。これらの結果から、らせん磁性体のキラリティーメモリは、室温かつ簡便な方法で書き込みや読み出し操作ができることを実証した。
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