中央病院、「ホウ素中性子捕捉療法」

 放射線の一種、中性子線を活用してがんを治療する施設が国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)に完成し、来年春にも患者を対象にした臨床試験(治験)を開始することになった。「ホウ素中性子捕捉療法」と呼ばれ、中性子線をがん細胞に集まったホウ素に当てると、アルファ線という別の放射線が出る原理を利用する。アルファ線は、ほぼがん細胞の中にとどまり、周囲の細胞への影響は小さいという。


 まず、がんに集まりやすいアミノ酸にホウ素をくっつけた物質を、患者に点滴で投与する。次に、患者の体外から中性子線を照射すると、がん細胞の中でホウ素からアルファ線が発生し、がん細胞を破壊する。
 これまでは中性子を取り出すのに原子炉が必要で、患者を原子力施設まで運ばなければならない難点があった。最近、原子炉が不要になり、市街地の医療機関にも設置できるシステムが開発された。同病院の施設は、診療棟の地下に設置された加速器で中性子を発生させる。
 治験についての問い合わせは国立がん研究センター中央病院の代表電話03・3542・2511まで。
(共同)