2016年5月9日月曜日


医師の代わりに自動で手術してくれるロボットが開発中、実際に手術する様子のムービーはこんな感じ



生き物の細胞や柔軟であるため、これまでロボットを使って手術することは非常に難しく、ロボット手術は「人間が行う手術よりも安全性が低い」として批判されることもありました。しかし、新たな技術の開発により、人間の手で行う手術と同じくらいの成功率を誇るロボットが作られており、実際の手術の様子がYouTubeで公開されています。

Supervised autonomous robotic soft tissue surgery | Science Translational Medicine
http://stm.sciencemag.org/content/8/337/337ra64

A robot surgeon has passed a major milestone — sewing up pig guts | The Verge
http://www.theverge.com/2016/5/4/11591024/robot-surgery-autonomous-smart-tissue-star-system

自動で手術の縫合を行ってくれるロボットの様子は以下から確認可能です。

Robot Performs Successful Surgery On Pig | NBC News - YouTube

新たに開発された自動手術ロボットは「Smart Tissue Autonomous Robot(STAR)」と呼ばれるもの。3Dモデルを使って細胞のうち縫合する箇所をマッピングして、自動で縫合を行っていきます。これまでは実際の縫合テストが行われていなかったのですが、今回新たに豚の腸を使って「2つの破片を1つのチューブに復元する」というテストが行われました。


ロボット全体を見るとこんな感じ。


ロボティックアームはドイツの産業ロボットメーカー・KUKAのもの。アーム部は7軸制御され、先端には縫合のためのデバイスがついています。フォースセンサー(荷重センサー)を搭載していて、アームの動作によってどのくらいの強さで針が動いているかのフィードバックを送ってくれる仕組みです。

ロボティックアームの後ろにあるコンピューターは縫合した場所をトラッキングしつつ表示。基本的には過去に行われた「最高の」手術のデータからどこを縫うべきかを決定しますが、必要に応じて手動で縫合箇所を変更することも可能です。これまでのテストでは全体の60%を自動化することに成功していますが、研究者らは「我々は歩き始めた子どもを見守る親のようなもので、注意深く見守らなければなりません」と慎重な姿勢です。


別角度から見るとこんな感じ。ガション、と縫合糸を通した部分が豚の腸を押さえつけて……


縫合したら浮き上がる、というまるでミシンのような動きでした。


テストでは、人間の医師による開腹術・内視鏡手術・手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った手術と、STARによる手術の仕上がりが比較されました。縫合の跡は、一貫性がなく強く縫合されている部分と弱く縫合されている部分があるほど「漏れ」が生じてしまうのですが、STARの手術跡は他の手術跡よりも一貫性を持って縫合できていたとのこと。慎重に進めるため速度は人間の手術よりも遅くなるそうですが、縫合跡の強度は人間の手による手術と同じくらいの完成度だったそうです。なお、2000年に手術を行うロボットとしてダヴィンチはFDAの承認を得ていますが、非常に高額なロボットにも関わらず、合併症になる割合が人間が手術した時と変わらない、という欠点がありました。

通常の手術の失敗率は1%以下とのことで、STARの実用化に際しては失敗率をさらに低くする必要があり、さらなる実験で安全性を証明することが必須。研究者らによると、実際に病院でSTARが活躍するまでにはまだ10年はかかると見られています。

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