https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08891/
デンソーが、電気自動車(EV)などの電動車両に向けたインバーターの技術開発を強化している。次世代パワー半導体の炭化ケイ素(SiC)や新しい冷却構造などで出力密度を従来比で1.6倍超に高めた。新技術の投入でインバーター事業の成長に弾みをつける。
直近の事業説明会や展示会で、電動化事業の方針や技術開発状況などを説明してきた。電動化事業の中核にあるのは、「世界トップシェア」(同社)を誇るインバーターである。
コストを削減できる。電池容量が大きいEVではコスト削減効果が大きいので、主にSiCを使う。
一方、HEVはEVほど必要な電池容量が大きくない。そこでHEVには安価なSi IGBTが適すると見ている。IGBTの中でも、デンソーが力を注ぐのが「RC-IGBT」である。
RC-IGBTはIGBTにダイオードを集積して1チップ化したもので、「逆導通型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ」と呼ばれる。インバーターやコンバーターといった電力変換回路では、IGBTのようなトランジスタとダイオードをセットで用いる。これらを1チップ化することで、それぞれを別に用意する場合に比べて、パワー素子のサイズを約3割小さくできる。それにより、コストも減らせる。
SiCウエハーの確保に注力
今後、インバーターはEV向けの比率が高まることから、SiCパワー素子に対する需要が急拡大する。そこでデンソーはSiCパワー素子の生産能力も強化する。
現在、口径150mm(6インチ)のウエハーでトレンチ型のSiC MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を量産しているが、2027年に口径200mm(8インチ)のウエハーで量産することを目標に掲げている。ウエハーの口径が大きくなるほど生産性が高まるので、コスト削減につながる。
パワー半導体各社がSiCパワー素子の増産に走っている。そのため、高品質なSiCウエハーの安定的な調達がますます重要になっている。そこでデンソーは、ウエハーメーカーとの関係強化に動いている。
2023年10月には、SiCウエハー企業の米Silicon Carbide(シリコン・カーバイド)に対して、5億米ドル(約740億円)を出資すると明らかにした。この出資を機にデンソーはSiCウエハーの長期供給契約を締結している。
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