2024年3月6日水曜日

層状結晶を歪ませて光起電力効果、新機能の開拓に期待=東大など 2022年12月2日

https://www.technologyreview.jp/n/2022/11/29/291630/

https://www.technologyreview.jp/n/2022/11/29/291630/



  • by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]

    東京大学と理化学研究所の共同研究チームは、電気分極を持たない層状結晶にひずみを加えることにより、面内に電気分極とそれを反映した巨大な光起電力効果が発現することを発見。観測された光起電力効果がひずみの大きさに伴って増大することや、量子力学的な機構によって説明できることを明らかにした。

    研究チームは、正三角形の対称性を持ったファンデルワールス結晶が一軸性ひずみによって対称性が変化することに着目。二硫化モリブデン(MoS2)をひずませることで、面内に電気分極とそれを反映した巨大な光起電力効果(バルク光起電力効果)が生じることを発見した。さらに、観測される光電流の大きさがひずみの大きさに伴って増大することや、観測された光電流の振る舞いが電子の量子力学的な波束の重心位置が光照射によって空間的に変位するという機構によって説明できることを見いだした。

    層間がファンデルワールス力によって結合したファンデルワールス結晶は、薄膜化や界面の作製、柔軟性を生かした変形などによって、元の物質とは全く異なる物性や機能性を実現することができるとして、近年注目を集めている。今回の研究成果は、ひずみの印加手法の改善や、他の類似のファンデルワールス結晶への適用により、次世代の太陽電池に向けた、新物質・新機能の開拓につながることが期待される。

    研究論文は、科学雑誌ネイチャー・ナノテクノロジー(Nature Nanotechnology)オンライン版に2022年11月21日付けで掲載された

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