2024年3月6日水曜日

燃料電池の低コスト化に、新酸化物を創製・発見=東工大など 2023年6月9日

https://www.technologyreview.jp/n/2023/06/07/309529/

https://www.technologyreview.jp/n/2023/06/07/309529/



  • by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]

    東京工業大学の研究チームは、中低温域で世界最高のプロトン伝導度(プロトン(水素イオン)が伝導することによる電気伝導度)を示す新物質を創製・発見した。さらに、東北大学などとの共同研究チームによる結晶構造解析と理論計算から、化学置換なしで高いプロトン伝導度を示す要因を解明した。

    現在実用化されている固体酸化物形燃料電池は動作温度が高いため、低コスト化と用途拡大のために、中低温域(300~600℃)で高いプロトン伝導度を示す材料が求められている。研究チームは今回、酸素空孔(結晶中の酸素が存在しうるサイトで原子が欠けている所)を大量に含む新しい材料の探索により、新物質「Ba2LuAlO5(バリウム、ルテチウム、アルミニウムおよび酸素から構成される酸化物)」を創製・発見した。

    同チームが化学置換(化合物の原子の一部を別の元素の原子で置換すること)していないBa2LuAlO5のプロトン伝導度を測定したところ、既知のセラミック材料よりも高いことが判明。さらに第一原理分子動力学シミュレーション(量子力学に基づいて物質における原子の運動や物質の性質を調べるシミュレーション)の結果から、高いプロトン伝導度の原因を示した。

    燃料電池の候補材料である「ペロブスカイト型プロトン伝導体」は、高い伝導度を実現するために化学置換が必要となる。一方、化学置換なしで比較的高いプロトン伝導度を示す新材料として注目されている「六方ペロブスカイト関連酸化物」は、プロトン伝導度が十分高くない。今回の研究成果は、低コストで製造できる高性能燃料電池の開発につながることが期待される。

    研究論文は、コミュニケーションズ・マテリアルズ(Communications Materials)に2023年6月6日付けで掲載された

0 コメント:

コメントを投稿