from The American journal of gastroenterology
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スタチンという種類の薬は血中のコレステロールを減らす作用があり、脂質異常症(高脂血症)の治療に使われますが、ほかの作用もあると言われています。アメリカの研究班が、膵臓がんの手術後の生存率と関連が見られたことを報告しました。
◆手術以前の使用も検討
ステージIからIIbという、比較的早い段階の膵臓がんの手術を受けた人が対象となりました。研究班は、調査開始時点でスタチンを使用中だったか、または以前にスタチンを使ったことがあったかを調べ、その後の膵臓がんの再発や死亡との関連について統計解析を行いました。
◆シンバスタチンで死亡率減
次の結果が得られました。
226人の患者のうち、ベースラインで71人(31.4%)がシンバスタチンを、27人(11.9%)がロバスタチンを以前に使っていた。以前にシンバスタチンを使っていたがロバスタチンを使っていなかったことは、生存期間の増加と関連した(シンバスタチン使用者で中央値28.5か月、95%信頼限界20.8、38.4、ロバスタチン使用者で中央値12.9か月、9.6、15.5、スタチン非使用者で中央値16.5か月、14.1、18.9、log-rank検定でP=0.0035)。Cox回帰分析では、シンバスタチン使用中であることが死亡リスクの減少と(調整ハザード比0.56、95%信頼限界0.38、0.83、P=0.004)、また再発のリスクの減少と(調整ハザード比0.61、0.41、0.89、P=0.01)独立に関連した。
スタチンのうち、ロバスタチンを使ったことがなくシンバスタチンを使ったことがある人は、生存期間が長くなっていました。また、シンバスタチン使用中だった人は、膵臓がんの再発率、死亡率がともに低くなっていました。
スタチンの作用についてはさまざまな面が議論されています。この結果も論点のひとつになるかもしれません。
ただし、この結果だけで、シンバスタチンが膵臓がんの再発を防いだと言い切ることはできません。シンバスタチンを使うに至った脂質異常症と、その重症度やほかの治療が影響している可能性も考えられます。薬の効果を見極めるには慎重な検証が必要です。
◆参照文献
Impact of Statin Use on Survival in Patients Undergoing Resection for Early-Stage Pancreatic Cancer.
Am J Gastroenterol. 2015 Jul 21 [Epub ahead of print]
[PMID: 26195180 ]
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