がん光治療:夏にも治験 米で承認 舌、咽頭対象 毎日新聞 2015年05月06日 東京朝刊 がん光治療治験の仕組み がん光治療治験の仕組み 体の外から光を当ててがん細胞を破壊する新たながん治療の治験を、米医薬ベンチャーと小林久隆・米国立衛生研究所(NIH)主任研究員らのチームが今夏にも米国などで始める。米食品医薬品局(FDA)が承認した。がん患者を対象に、安全性や効果を調べる。患者の負担が少なく効率的な新しい治療法になる可能性がある。 計画によると、手術や放射線治療、抗がん剤などの治療法で治らなかった舌がん、咽頭(いんとう)がんなどの患者が対象。がん細胞だけが持つたんぱく質に結びつく性質がある「抗体」に、特定の波長の近赤外光を当てると化学反応を起こす化学物質を付けて患者に注射する。体外や口腔(こうくう)内から患部に近赤外光を照射すると化学反応が起き、がん細胞を破壊できる。マウスなどの実験で安全性と効果を確認した。 治験ではまず、患者7〜9人に化学反応を起こす物質を付けた抗体を注射し、安全性を確認する。次に、注射後の患者15〜24人を対象に、患部に近赤外光を照射する。3カ月かけてがんの大きさの変化や副作用、当てる光の量による効果の違いなどを調べる。 近赤外光自体は体に害はなく、体表から5〜10センチの深さまで届く。今月から米ミネソタ大や、FDAの承認が効果を持つオランダ・フローニンゲン大で患者の募集を始める。小林さんは「安全性が確認されれば、治療法が確立されていない希少がんを対象にした治験も検討したい」と話す。【永山悦子】
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