中国の都市部では、スマートフォンが老若男女に普及してきている。ただ高齢者の中には、どうしてもスマートフォンは苦手な人もいる。
そんな高齢者のために、電卓のようなシンプルな携帯電話が登場し、中国の多くのモバイルショップでスマートフォンとともに売られている。
大手メーカーから無名のメーカーまで数えられないほどのメーカーからリリースされているが、どれも似たり寄ったりである。
今回紹介する「大唐通信」の「T68」は、一見ほかの高齢者向けケータイと似て電卓のようなシンプルさを求めたフィーチャーフォンに見えるが、実はクラムシェル型のスマートフォンである。
クラムシェル型だから真ん中から開くと、そこには各アイコンを大きくした高齢者向けAndroidの画面が表示される。つまりシンプルなケータイながら、さまざまなアプリを利用できるのだ。このギミックに驚き約1万円(499元)払って購入してしまったのでレビューしたい。
フタをつけるとフィーチャフォンになる
Androidスマホ
まずは「T68」のスペックを紹介しよう。
OSはAndroid 2.3、CPUはCortex-A5(1GHz)、512MB RAM、ディスプレーは480×320表示が可能な3.5インチモニター。SIMカードスロットは2つあり、中国移動(China Mobile)の3G「TD-SCDMA」に対応している。
通信関係はBluetooth 2.1、無線LANに対応。バッテリーは1500mAh。コネクターやスロット類はmicroUSBコネクターにmicroSDカードスロットを装備。
見てのとおり懐かしいスペックで、メニュー画面こそ快適に動くが、ブラウザーを開こうものなら、ディスプレーの小ささと遅さに、「あぁ昔はこんなスマホ触ってたよなあ」と思い出すことだろう。
だが、そこは電卓のようなボタンがついたフタをつけて、高齢者向けとすることで使える通信端末に化ける。
(次ページに続く、「高齢者向けだからこその工夫も!」)高齢者向けだからこその工夫も!
家族や知人とのやりとりに、中国で普及するメッセンジャーの「微信」(WeChat)を使えれば、使い勝手はよくなるのだから、家族の誰かしらがこの製品に微信をインストールした後、「ウェブサイトを見るのはこの機種では勧めませんよ」と言ってしまえば、あとは不満なく使ってくれるだろう。
閉じた状態と開いた状態で、それぞれディスプレーサイズも違うのだが、モニターはひとつだけだ。フタのモニターの部分が透明になって、フタをしめるとフィーチャーフォンモードに変わり、モニターの表示が変わるというわけだ。
フタをしめたときはスマートフォンながら、フィーチャーフォンのように見せているわけだ。フタのボタンの押下感だが、高齢者向けケータイを意識しているからこそ、しっかりと電卓を押すような感触がある。
旧世代のスマートフォンにフィーチャーフォンに化けるフタをつけただけではない。高齢者にも音が聞こえるよう、全般的に大音量の傾向がある中国のケータイの中でもとりわけ大音量にできる。
また他の高齢者向けケータイと同様、側面にはLEDライトスイッチ、裏面にはカメラとともに押下すると警告音がなるSOSボタンがあり、他の高齢者向けのケータイからの移行も容易にできる。
さらに、Android側でインストールされているアプリについても、本機のマイクで拾った音声を本機のイヤフォンに届ける補聴器アプリや、本機のカメラの画像をディスプレーで大きく見せる拡大鏡アプリ、薬を飲む時間を教えてくれるアプリなどが用意されていて実用的だ。
スマホが高齢者向け情報端末のスタンダードに!?
今までは高齢者にとってスマートフォンでは多機能すぎて難しく、されど高齢者向けのケータイでは、知人と連絡するための定番のメッセンジャー「微信」や「QQ」の利用ができなかった。インストールするまでは高齢者にはハードルが高いが、家族の人がこれらをインストールすれば、現時点で最も理想的な高齢者向けハイブリッドスマートフォンができあがる。
マニアックな機種なので知られていないが、口コミで広がれば、さまざまなメーカーが同じような機種をリリースし、この手のハイブリッドスマートフォンが高齢者向け情報端末のデファクトスタンダードとなるかもしれない。
0 コメント:
コメントを投稿