海にすむ無脊椎動物「ホヤ」に鼻のもとになる細胞があることを、甲南大(神戸市)や米カリフォルニア大バークリー校のチームが発見し、このほど英科学誌ネイチャー電子版に発表した。鼻や目、耳などの感覚器官のもとになる細胞は、人などの脊椎動物にしかないとされてきた。
甲南大理工学部の日下部岳広教授(発生生物学)は「約6億年前に脊椎動物とホヤの共通祖先がいたとみられ、人の成り立ちを解明するのに役立つかもしれない」と説明している。
ホヤは無脊椎動物の中では脊椎動物に最も近いとされ、研究のモデル生物として使われている。
チームはホヤの胚を調べ、脳に成長する部分の近くで、人にも存在し、感覚器官になるよう指示するタンパク質が働いている細胞を発見した。
この細胞は、卵からかえったホヤの幼生では、においを感じると脳に送られる物質を作る神経細胞になっていた。人の鼻と同じような働きをしており、鼻のもとになる細胞があると分かった。
神経細胞は生殖活動に関わるホルモンを分泌する働きもあり、脊椎動物も同じ仕組みを持っているという。
日下部教授は「ホヤの遺伝子に手を加えれば脊椎動物の感覚器官を再現できるかもしれない」と話している。〔共同〕
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