2016/12/13 最新ニュース
穀物世界大手カーギルは11月28日、EPA、DHA等の長鎖オメガ3脂肪酸を多く含む遺伝子組換えナタネの開発に成功したと発表した。オメガ3脂肪酸は、血圧低下、中性脂肪減少、コレステロール減少、アレルギー症状緩和などの効果があると言われており、昨今注目が集まっている。オメガ3脂肪酸は、自然界では魚に多く含まれている成分。DHAなどオメガ3脂肪酸が豊富な魚の養殖では、人工的に他の魚から魚油を抽出し、餌として魚に捕食させる方法が一般的に行われている。今回魚油の替わりに新開発のナタネを魚の餌とすることで、水産資源の保護に資することができるという。
今回発表されたナタネの開発では、ドイツの化学大手BASFからの協力を得て2011年に開始。チリ産の鮭を用いて行われた実験からは、EPA、DHAを豊富に含んだナタネ油が魚油を完全代替できることが確認された。今後、開発された遺伝子組換えナタネとそのナタネを原料とするナタネ油は、当局での試験と認可を獲得プロセスに入り、2020年頃には商業販売できるようになる見込み。
長鎖オメガ3脂肪酸の摂取が人体にも良いことは、米国心臓協会、メイヨー・クリニック、ハーバード大学公衆衛生大学院も認めている。現在、消費者の多くは日常的に理想とされるEPA、DHA量を摂取しておらず、摂取量を適正値まで増やすことで、健康増進効果が得られるのだという。一方、今回の開発されたナタネが遺伝子組換え作物であることから、遺伝子組換え反対派からは反発を呼びそうだ。
【参考ページ】Cargill developing new canola with long-chain omega-3s to increase availability of nutritious fish
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