2017年2月12日、参考消息網によると、10日付の英紙インディペンデント(電子版)は、欧州と北米のスモッグは、中国の都市の平均的な大気汚染に比べて約27倍も致命的である可能性を示す新たな研究が発表されたと伝えている。
研究者らは中国の272都市で人々の健康に与える大気汚染の影響を調査した。これは発展途上国でこれまでに行われた研究の中でかつてない規模のものだ。
呼吸器疾患の主要雑誌、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicineに発表された論文によると、研究者らは、これらの都市における大気汚染の主な原因である微小粒子状物質PM2.5の平均年間曝露量量が、世界保健機関(WHO)が推奨するレベルよりも5倍以上高いことを発見した。研究者らは同時に、欧州と北米に比べ、中国のPM2.5は死亡率を高める可能性がはるかに低いことも発見している。
中国疾病予防コントロールセンターの周脈耕(ジョウ・マイグン)氏率いる研究チームは、その理由について、「中国の大気汚染の根源は、乾燥地帯から飛来する大量の自然粉塵だ。それに対し、欧米は工業に由来している」と指摘する。研究者らは、事故による死亡を除けば、中国の1立方メートルの空気中で10マイクログラムの大気汚染が増加するたびに死亡率が0.22パーセント増加することを発見した。
この研究に関与していないが中国の大気汚染を研究している英キングス・カレッジ・ロンドンの環境健康専門家、フランク・ケリー教授は、インディペンデントの取材に対し、「これらの相対的なリスクは欧州や米国に比べてかなり小さい。欧州の早期死亡率を見ると、汚染物質が10マイクログラム増加するたびに死亡率は6%高まっている」と述べている。これは、欧州の大気汚染が中国の平均的な大気汚染に比べて約27倍も毒性が高いことを示唆している。
一方で、ケリー教授は「中国の大気中に含まれる自然粉塵による汚染への影響は、石炭やバイオマス、化石燃料などによる影響を矮小化するものではない」とも指摘し、北京、上海、香港などの都市は「欧米式」の大気汚染に苦しんでいる可能性が高いとの認識を示している。汚染の原因が発電や交通渋滞によるものでない地方都市の死亡率が相対的に低いためだ。
自然粉塵は、肺を物理的に損傷し、ぜんそくを引き起こす可能性がある。化石燃料の燃焼時に生成される炭素粒子も同様の問題を引き起こす可能性がある。それらは有毒な重金属、化学物質、揮発性有機化合物で覆われており、肺から血液に入ることで、体にさらなる損傷を引き起こすと考えられている。
国際環境NGOグリーンピースのアリーバ・ハミド氏は「有毒な空気は、世界中のどこに住んでいても人々の健康を害する原因となる。ディーゼル車のフュームは自動車会社が主張しているよりもはるかに有毒であり、欧州や北米の大気汚染の主因となっている。だがこれらの企業は多くの問題に責任を負う必要があるにもかかわらず、これまでのところ本当の責任を回避している」と指摘する。
WHOの環境基準によると、PM2.5指数は1立方メートル当たり10マイクログラム以下が安全値だ。だが今回の調査から、中国の各都市のPM2.5指数は平均で同56マイクログラムであることが判明している。
研究者らによると「75歳以上」「教育水準が低い」「より暑い場所に住んでいる」人々は死亡するリスクが高いという。相対的に暑い都市の人々は、窓を開けたままにする時間が長く、より多くの汚染された空気を吸い込む可能性が高い。あまり教育を受けていない人々は、ヘルスケアへのアクセスが不十分であるか、もしくは環境的に劣悪な条件に置かれている可能性があるためだ。(翻訳・編集/柳川)
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