中国では近年、がん患者が急増している。経済的に豊かになったことで食生活の欧米化が進んだことのほか、大気汚染などの環境破壊が深刻化していることが、中国でがん患者が増加する要因となっている。2015年の中国のがん死亡者数は280万人に達したとの推計もあるほどだ。

 中国メディアの華夏経緯網は23日、2015年の統計の内容として、中国におけるがんの5年生存率は36.9%にとどまると伝える一方、日本の場合は「10年生存率」であっても中国を大きく上回っていると紹介、なぜ日本と中国ではこれほど生存率に差があるのかと疑問を呈した。

 日本の国立がん研究センターがまとめた統計によれば、2000年から2003年にかけてがんと診断された4万5359症例の10年後の生存率は58.5%だったほか、06年から08年にがんと診断された患者の5年生存率は69.4%に達した。中国ではがんと診断されてから5年後も生存している患者の割合が36.9%にとどまるのに対し、日本では10年後であっても58.5%の人が生存していることを意味する。

 記事は、日本と中国のがんの5年生存率に大きな差がある現状について、専門家の見解として、「がんの生存率はがんの発見時期と大きな関わりがある」と指摘し、より早期に発見されたがんのほうが治療しやすいと指摘。中国はがん治療の水準は特に劣っているわけではないとしながらも、日本は早期発見のための検査技術が特に進んでいると指摘した。

 また、日本は検査技術のみならず、重粒子線がん治療など世界最先端の治療方法があると伝える一方、中国にはまだ重粒子線がん治療を受けられる病院が少ないなどの制約があり、一部の患者が治療を受けるため日本を訪れていると紹介した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF