2017年2月26日日曜日

ゲノム医療を用い、新たながん治療の開発を進める-国立がん研究センター理事長としての志


  • #がん・腫瘍
  • #遺伝子・染色体
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ゲノム医療を用い、新たながん治療の開発を進める-国立がん研究センター理事長としての志

中釜 斉

中釜 斉先生国立がん研究センター 理事長

医療は日進月歩のスピードで発展しており、がん治療後の生存率も数十年前とは比較にならないほど向上しました。しかし、依然としてがんは日本人の死亡原因1位を占めており、そのなかには治療法が確立されていないがんも存在します。昨年2016年に国立がん研究センターの理事長に就任された中釜斉先生は、ゲノム医療が、がんの新たな治療を開発するカギになるとおっしゃいます。がん患者を取り巻く様々な問題の解決手段と、日本のがん医療の質を向上させるための国立がん研究センターの先進的な取り組みについて、中釜先生にお話しいただきました。

国立がん研究センターの特徴と役割

あらゆる病気の治療が生まれるまでには、(1)まず科学的に病気の問題点が抽出され、(2)その問題点が解決され、(3)そして臨床応用されていくという一連の流れがあります。つまり、医療全体は、研究的な部分、開発的な部分、そして実際に現場で用いる部分の3つに大別することができるのです。

国立がん研究センターは研究・開発・臨床の全てを扱う

通常この3つは異なる施設で行われていますが、国立がん研究センターは研究所、各種の研究及び開発センター、病院を持っており、更にこれら全てに関する情報を発信する組織も有しています。そのため、当センターの使命は、がん医療を網羅する多岐的なものとなっています。
近年では、がんの予防と治療後のサポートにもニーズが集まるようになりました。がんが治癒した後、患者さんが社会のなかで自分らしく生きていけるよう橋渡しすることも、当センターに求められる重要な役割です。
橋渡し

日本全国で使えるがん患者支援の仕組みづくり

病気のみと向き合うのではなく、広い枠組みでがんを捉える

がんの告知を受けた患者さんは、精神的な不安や生活への影響など、様々な問題に直面します。そのため、国立がん研究センターの職員には、がんをより広い枠組みで捉え、患者さんを取り巻くあらゆる問題の対策を講じていく姿勢が求められます。
罹患する前から治療後までをひとつの流れとして考え、社会はがん患者さんに対してどのように対応していくことが最適かを検証し、全国で応用できる仕組みをつくることが、現在私たちが取り組むべき任務のひとつであると考えます。

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