勉強の為に引用しました。
人工芝の原料に発がん物質!?(shutterstock.com)
「人工芝」の3文字から連想される競技は、野球・サッカー・ラグビーなどが筆頭で、次いでアメフトやフットサルを挙げる人もいるだろう。若いお母さんであれば、保育園の廊下や百貨店の屋上広場、あるいは自宅のベランダや庭園を思い浮かべる人も少なくない。
実際、ネット上には、人工芝愛用歴ン年の主婦が綴る、その活用やメリット・デメリットが投稿されている。それらは総じて、「手入れが楽・虫がつかない・転んでも痛くない」と好評価の一方、「夏場は暑い・きれいに掃除ができない」というものだ。
実際、ネット上には、人工芝愛用歴ン年の主婦が綴る、その活用やメリット・デメリットが投稿されている。それらは総じて、「手入れが楽・虫がつかない・転んでも痛くない」と好評価の一方、「夏場は暑い・きれいに掃除ができない」というものだ。
だが、人工芝への認識や姿勢は、このような利便性優先の考え方でいいのだろうか?
「それが何か!?」とキョトンとした人は今、米国、英国を揺るがせている「がん発症問題」は初耳だろう。今年に入り、米国消費者製品安全委員会、環境保護庁、疫病対策センターの三者が共同で、巷間求められてきたある調査の開始を発表した。
米国の政府機関も重い腰を上げた
人工芝の充填剤原料として使用されるゴムチップ(=廃タイヤから作られる化学物質)の危険性について、とうとう重い腰を上げたのだ。
事実上、政府側が「がんとの関連性」を認めたかたちとなるが、ここまでの道のりは長かった。
2009年、米ワシントン大学女子サッカー部所属の2人のゴールキーパー(以下、GK)が相次いで入院し、いずれも非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma)と診断されたのが端緒である。
これは、腫瘤ができるものの初期症状が無痛性のため、誤診などで見逃されやすい悪性リンパ腫の一種。
それにしてもなぜ、同じポジションの部員が揃って一緒の病に見舞われたのか!?
しかも、同部のエイミー・グリフィン主将(兼准ヘッドコーチ)は病院側から「今週だけでGKばかりが4人も入院してきた」と不可解にして驚愕の事実を聞かされたのだ。
ペナルティエリア内では、“守護神”GKと相手選手との攻防は激しさを増す。練習時も人工芝のゴム屑はスパイクとぶつかり合いホコリもろとも宙を舞う。
粉塵は、GKの髪やユニフォームに付着し、口腔摂取が日常だ。肌の露出部分の擦過傷にも付着する。
罹患38人中34人が「GK」の不可解
「あの“黒い屑“がきっと発がん性物質に違いない!」、そう確信したエイミー主将は、他大学女子サッカー部も調査。すると38人が化学療法を受け、うち34人がGKという深刻な結果が判明した。
しかも、全員の診断が「がん」、それも血液性のがんであるリンパ腫や白血病が多い点で一致をみた。
以来、全米のメディアが騒ぎ始めて科学者の見解や検証も開始。がんには至らないまでも、ゴム屑摂取による呼吸器疾患など、過去20年間で60件におよぶ健康被害が報道された。
なかでも、全米報道番組『USAトゥデイ』の追求はかなり積極的で昨年3月には、次のように報じた。
「人工芝使用の競技場は、全米各地で1万1000箇所もある。そして多くの学校、保育園や遊戯場から健康被害を起こす鉛が高濃度検出されている。ところが、わが連邦政府機関が人工芝は安全だと謳って使用を推奨しているのは明らかにおかしい!」
補足すれば、件のゴムチップには、国際がん研究機関の発がん性リスク評価で3類(=発がん性が未分類)のベンゼン、2類(=発がん性の疑いあり)のカーボンブラックと鉛が含有されている。
そんな全米メディアの沸騰追及に対しても、政府機関は数年間も無視を決め込んできたが、とうとう今年2月の連携調査開始が発表された。
先日は英国のアンドリュー・ワターソン教授(スコットランド・スターリング大学)らによる人工芝調査の結果も公表され、「複数の発がん性物質が存在する」事実が明かされた。
人工芝の上で無邪気に遊ぶお子さんがいる家庭では、一考すべき知見かもしれない。
(文=編集部)
(文=編集部)
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