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 全日本空輸(以下、全日空)は2022年10月3日、同社の環境に配慮した取り組みを表現するために特別なデザインの塗装を施した航空機「ANA Green Jet」を披露した(図1)。同機には、燃費改善を目指した機体の表面加工の実証試験や、植物由来の原料を使ったヘッドレストカバーの採用など、二酸化炭素(CO2)の排出抑制を目的としたさまざまな施策を講じている。同年10月5日に運航を開始した。

図1 ANA Green Jetの外観
図1 ANA Green Jetの外観
ボーイング787型機に新たなデザインの塗装を施した。「環境の概念を表現する『水と緑』をモチーフとした」(全日空)という。(写真:日経クロステック)
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 燃費の改善を目指す試みとして、機体表面の一部にサメの肌を模した「リブレット加工」を施したフィルムを貼り付けた(図2)。リブレットとは、微細な三角形の凹凸構造(図3)。空気と接する面に同加工を施すと、摩擦抵抗が小さくなることが既に知られている(図4)。

 「試算では、機体表面の80%にリブレット加工フィルムを装着した場合、燃費を約2%改善できる」(全日空代表取締役社長の井上慎一氏)という。同社が保有する全ての航空機に適用すると、ジェット燃料として年間95万t、CO2に換算すると同30万tの削減が見込める。

 ただし今回の機体におけるリブレット加工フィルムの装着箇所は、「最も気流の激しい」(井上氏)胴体上部と右翼付け根の2カ所のみで、燃費改善を期待するものではない。あくまでもフィルムの劣化や変色といった耐久性の確認など、技術的な検証を目的としている。

図2 サメの肌を再現したフィルム
図2 サメの肌を再現したフィルム
右翼付け根に装着したリブレット加工を施したフィルム(a)とその拡大写真(b)。6枚1組として縦35×横45cmの範囲に貼り付けた。胴体と色が異なるグレーの部分がリブレット加工した面。(写真:日経クロステック)
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図3 リブレット加工の電子顕微鏡画像
図3 リブレット加工の電子顕微鏡画像
高さと幅が数十μm程度の凹凸が並んでいる。なお、画像は実際にANA Green Jetに貼り付けたものではない。加工形状はほとんど同じだがリブレットの深さ(三角形の山の高さ)とピッチが異なる。(出所:ニコン)
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図4 リブレット加工による空気との摩擦低減の効果
図4 リブレット加工による空気との摩擦低減の効果
リブレット加工なし(左)と加工あり(右)のシミュレーション結果の比較。赤色は摩擦が大きく、青色は摩擦が小さい。リブレット加工によって全体的に摩擦が低減している様子が分かる。(出所:全日空)
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