https://www.asahi.com/articles/ASQ7Q64L4Q7HPLFA001.html?ref=mixi_rel
「ほぼカニ」の生みの親に聞いてみた
丸くて小さい黒い目二つ、大きなハサミを持った赤いヤツが迫ってくる――。
「もう、たくさんや!」
そこで目が覚めた。夢。こんなことが何回も続いた。食べてもいないのに、気のせいか口の中がカニっぽい味がする。
「一生分食べたんと違うかな、カニ」
そう苦笑するのは、魚肉練り製品の開発・製造販売を行うカネテツデリカフーズ(神戸市東灘区)の開発部長、宮本裕志さん(50)。
「ほぼカニ」の生みの親だ。
魚の練り物を使って、まるで本物のような味、食感、見た目を再現したフェイクかまぼこ。その第1弾として2014年3月に誕生したのが、ほぼカニだった。
その後、ホタテ、エビフライ、カキフライ、ウナギ、イクラなどの「ほぼ」シリーズを発売。累計販売量は6千万パックを突破し、同社の主力商品群に成長した。
「カニカマを超えろ」 動き出したプロジェクト
そもそも、カニカマをカニの代わりと思う人はいないのではないだろうか。カニカマはあくまでカニカマのはず。
「ほぼ」はその概念を覆すことに挑戦したプロジェクトだった。
12年。カニの不漁が目立つようになり、価格が高騰した。ただでさえ高級食材のカニが食卓から遠ざかっていった。
そこで、本物のカニが悔しがるような「世界一ズワイガニに近いカニカマ」をつくるためのチームが社内に立ち上がった。
一筋縄ではいかなかった。
「何回作っても普通のスティックタイプのカニカマの味、食感だった」
本物の味を知るため、ズワイガニを買いあさり、食べまくった。会社の経費で。
「最初はすごくおいしくいただいていたが、そのうち飽きてきて、もうカニを見るのも嫌やなーってなった」
そこで、科学的なアプローチを試みた。ズワイガニのうまみ成分となるアミノ酸を理化学分析した。100回近く試作を重ね、アミノ酸の数値を本物に近づけた。
しかし……、まずかった。
カニそのものは薄味で、海や磯の風味が加わらないとおいしくない。机上の論理で再現すると、苦みや臭さだけが際立ってしまった。
チームは袋小路へ。そして、方針転換。
「自分がおいしいと思うもんにしたらええんや」
アミノ酸の成分の組み合わせや比率を何度も何度も変え、うまみを膨らませた。
「これや」
おいしいの正体は……
この味は何だろう。宮本さん…
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