https://www.nikkei.com/prime/tech-foresight/article/DGXZQOUC3135X0R30C24A1000000?n_cid=NPMTF000P_20240207_a21
AI(人工知能)に関する注目動向をダイジェスト形式でお届けします。
SCREEN HDが半導体検査にAI、24年6月に提供へ
SCREENホールディングス(HD)は、AIを活用した半導体ウエハー・プリント基板向け検査・計測ソリューション「SCRAIS (スクライズ)」を2024年6月から提供する。既存のシステムから検査精度を高めるとともに虚報(誤検出)を減らし、検査・計測工程の工数・コスト削減と歩留まり改善につなげる。
画像処理技術とAIを組み合わせて虚報を削減するシステムの後継版として、新たなソリューションを展開する。現在は、アルゴリズムの構築のほか、AIモデル開発にかかるラベル付け工数の削減、自動欠陥分類(ADC)への深層学習への適用、検査時の設定工数の削減などを進めている。「虚報の削減率80%以上」「欠陥の見逃し率0.1%以下」を顧客導入時の目標とする。
Googleが「Chrome」最新版に生成AI機能、タブ管理を効率化
米Google(グーグル)は、Webブラウザー「Chrome」の最新版(M121)に生成AI機能を搭載した。AIモデル「Gemini」を活用して、①タブグループの管理、②文章の下書き支援、③独自テーマの作成、の3つの機能を提供する。実験提供のため、企業・教育機関向けアカウントでは利用できない。
①では、開いているタブを基に、AIがタブグループを提案して作成する。次に必要になったときに見つけやすいよう、グループの名称と絵文字も提案する。複数の作業を並行して進めている際に有効だという。②では、いくつかの単語を入力するとAIが文章を作成し、候補となる文章を表示する。③では、テキストから画像への拡散モデルを導入した。ユーザーが選んだ雰囲気や色などに基づいてテーマを生成する。③は、2023年にスマートフォン「Pixel 8」でも採用した機能だ。
千葉工大などがリザバー計算に自己制御機能、エッジAI向け
千葉工業大学などの研究チームは、リザバーコンピューティング(RC)に脳の「神経修飾機構」を模した自己制御機能を導入した。数値シミュレーションにより、「LSTM」「GRU」などのリカレント・ニューラル・ネットワーク(RNN)モデルと同程度の学習性能を持つことを確かめた。従来のRCと同様の物理実装性を備えており、エッジAIへの応用が期待できる。
新開発の「SM-RC」は入力ゲートとリザバーゲートを持ち、入力強度とスペクトル半径をそれぞれに変調できる。そのため、入力信号に応じて複雑なダイナミクスをリザバー層内に引き起こせる。学習結果を比較した結果、カオス状態も有効に活用して学習性能を高めていることが分かった。カオス時系列予測タスクでは、従来の10分の1のサイズのリザバー層で従来と同等の予測性能を示した。今後、ハードウエア化に関する研究を進める。
この研究に関する論文は「Communications Physics」に掲載された。
〈関連論文〉
Learning reservoir dynamics with temporal self-modulation
https://www.nature.com/articles/s42005-023-01500-w
〈詳細情報〉
https://www.it-chiba.ac.jp/topics/pr20240122-111/
Learning reservoir dynamics with temporal self-modulation
https://www.nature.com/articles/s42005-023-01500-w
〈詳細情報〉
https://www.it-chiba.ac.jp/topics/pr20240122-111/
東京理科大などが断層撮影に機械学習、非破壊検査を高精度化
東京理科大学などの研究チームは、物質内部の状態を分析する「電気インピーダンス・トモグラフィー(EIT)」法で空間分解能の向上に成功した。機械学習と論理演算を組み合わせた画像処理法「AND法」を開発し、導入した。新手法を発展させれば、建築物内部の状態を非破壊で高精度に検査できる。
EIT法は、電位データから導電率や電気抵抗を推定して物質内部を可視化する断層撮影技術だ。他の断層撮影装置よりも小型化できるのが利点で、医療分野などで利用されている。研究では、数学的な手法を用いて再構成した画像を機械学習と組み合わせて、導電率分布の空間的な分解能を高めた。従来手法との比較解析の結果、対象物内部の異物が非常に小さい場合は、AND法の方が正確に内部構造を画像化できることが示唆されたという。
この研究に関する論文は「AIP Advances」にオンライン掲載された。
〈関連論文〉
A hybrid of iterative Gauss-Newton and one-dimensional convolutional neural network for high-resolution electrical impedance tomography
https://pubs.aip.org/aip/adv/article/14/1/015210/2933320/A-hybrid-of-iterative-Gauss-Newton-and-one
〈詳細情報〉
https://www.tus.ac.jp/today/archive/20240122_1672.html
A hybrid of iterative Gauss-Newton and one-dimensional convolutional neural network for high-resolution electrical impedance tomography
https://pubs.aip.org/aip/adv/article/14/1/015210/2933320/A-hybrid-of-iterative-Gauss-Newton-and-one
〈詳細情報〉
https://www.tus.ac.jp/today/archive/20240122_1672.html
東京農工大がマイクロジェット研究に説明可能AI、速度に関わる要因発見
東京農工大学の研究チームは説明可能なAIを活用して、レーザー誘起マイクロジェットの速度に関わる要因を発見した。この知見を基にジェット速度の制御性を高められれば、針の無い注射器を用いた薬剤の投与や高粘度塗料を使ったオンデマンド塗装の実用化につながる。
細管内の液体にレーザーを集光して高速のマイクロジェットを生成し、細管内の画像からジェット速度を予測する機械学習モデルを構築した。説明可能なAIを用いて画像からジェット速度を予測し、その予測過程を見ることで、ジェット速度に影響する要因を調べた。予測値とジェット速度が強い相関を示したため、機械学習モデルが抽出した特徴を調査した。その結果、キャビテーション(気泡)の位置がジェット速度に重要であることが示された。
この研究に関する論文は「Physics of Fluids」に掲載された。
〈関連論文〉
The effects of secondary cavitation position on the velocity of a laser-induced microjet extracted using explainable artificial intelligence
https://pubs.aip.org/aip/pof/article/36/1/013317/3022996/The-effects-of-secondary-cavitation-position-on
〈詳細情報〉
https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2023/20240122_01.html
The effects of secondary cavitation position on the velocity of a laser-induced microjet extracted using explainable artificial intelligence
https://pubs.aip.org/aip/pof/article/36/1/013317/3022996/The-effects-of-secondary-cavitation-position-on
〈詳細情報〉
https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2023/20240122_01.html
(ライター 松田千穂)
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