https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2068Y0Q3A221C2000000/
名古屋大学と旭化成の研究チームは、窒化アルミニウムを使ったパワー半導体が、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも電力損失を大幅に減らせることを実証した。電気自動車(EV)などに載るパワー半導体に窒化アルミニウムを使えば、航続距離を伸ばせる可能性がある。
EVなどの電力変換を担うパワー半導体には、シリコンやSiC、GaNといった材料が使われる。これらの材料はパワー半導体中を電気が通ったり、スイッチのオンオフを繰り返したりすると、電気が熱となって逃げるため、電力損失が生じる。EVの航続距離の延伸や再生可能エネルギーの利用拡大に向けては、損失がより小さい材料を採用することが望ましい。
窒化アルミニウムは理論上はシリコンなどより電力損失が小さいが、デバイスの作製が困難で、実証されてこなかった。パワー半導体には電子が流れる仕組みが異なる2種類の半導体が必要だが、窒化アルミニウムでは作製が難しいためだ
研究チームは旭化成製の窒化アルミニウム基板の上に、従来と異なるやり方で2種類の窒化アルミニウム半導体をつくったところ、電子がよく通ったという。それをもとに「pn接合」というパワー半導体に不可欠な構造を築いた。性能を分析したところ、単純計算で電力損失をSiCやGaNの8分の1に減らせることが分かった。
名古屋大学の須田淳教授は「窒化アルミニウムの素性の良さが今回の成果で示された。約5年後をめどに様々なデバイスを発表していきたい」と話す。
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