2024年7月24日水曜日

物理学者が円周率の新しい表現方法を発見 インド理科大学院。2024年07月

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インド理科大学院(IISc)は6月18日、IIScの科学者が、ひも理論を使って物理現象を説明する研究をしている際に、円周率を表す新しい級数表現を見つけたと発表した。研究成果は学術誌Physical Review Lettersに掲載された。

この級数表現は、高エネルギー粒子の量子散乱の解読プロセスに関連する計算から円周率を抽出する方法を提供するものだ。研究は、IIScのポスドクであるアルナブ・サハ(Arnab Saha)氏とIISc高エネルギー物理学センター(CHEP)のアニンダ・シンハ(Aninda Sinha)教授により行われた。

シンハ教授のグループは、自然界のすべての量子プロセスが、弦を弾く際に生じるさまざまな振動モードを活用できると仮定する理論的枠組みとして知られるひも理論に関心を持っていた。彼らの研究は、大型ハドロン衝突型加速器で陽子が衝突するといった高エネルギー粒子の相互作用に焦点を当て、できるだけ少ない要素とシンプルな方法でそれらを観察することができないか模索するものだ。こうした複雑な相互作用の表現方法は、最適化問題として分類されている。

サハ教授はこの最適化問題に取り組み、粒子の相互作用を効率的に表現する方法を探した。効率的なモデルを開発するため、両氏はオイラーベータ関数とファインマン図の2つの数学的ツールを組み合わせた。そして粒子間の相互作用を説明する効率的なモデルと、円周率を表現する級数表現が偶然に発見された。この級数は、特定のパラメータを組み合わせることで、科学者が円周率の値を迅速に導き出すことを可能にし、高エネルギー粒子の散乱を解読する計算に取り入れることができる。

現段階では理論上の発見となるが、将来的に実用化される可能性もゼロではないという。シンハ氏は、1928年にポール・ディラックが電子の動きと存在に関する数学的研究を行ったが、その発見が後に陽電子の発見の糸口となり、さらには病気や異常をスキャンする陽電子放射断層撮影(PET)装置の設計につながるなど、思いもよらない応用例があることを指摘した。

シンハ氏は、「このような研究は、日常生活ですぐに役立つことはないかもしれませんが、理論を理論として研究することの純粋な喜びを与えてくれます」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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