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米インテルが開発した光入出力を備えるチップレット集積型半導体(出所:インテル)
米インテルが開発した光入出力を備えるチップレット集積型半導体(出所:インテル)
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 光電融合は電気信号と光信号を扱う回路を融合し、情報処理を高速化したり省電力化したりする技術を指す。生成AI(人工知能)ブームを背景に消費電力が急増しているデータセンターの省電力化の鍵を握る。NTTは2030年代を見据えた次世代ネットワーク構想「IOWN(アイオン)」の基盤技術と位置付ける。台湾積体電路製造(TSMC)や米Intel(インテル)など半導体大手も開発を加速させ始めた。

情報の伝送や処理に光を最大限活用する(出所:日経クロステック)
情報の伝送や処理に光を最大限活用する(出所:日経クロステック)
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 従来のネットワークや情報処理基盤は、性能やコストの観点から長距離のデータ伝送には光を使い、短距離のデータ伝送や情報処理には電気を使ってきた。ところがここにきて、データセンターなどで扱う情報量が爆発的に増える一方で、消費電力の増大を抑えることが半導体の微細化限界により難しくなっている。

 そこで、電気に比べて高速かつ低電力でデータを伝送したり処理したりできる光を、ネットワークや情報処理基盤に最大限活用しようとする動きが出てきた。NTTのIOWNはそうした発想に基づく次世代ネットワークの1つである。現行のネットワークに比べ、電力効率を100倍、伝送容量を125倍、遅延時間を200分の1にすることを狙う。

 こうした高速・省電力ネットワークを実現する手段が光電融合であり、シリコン(Si)フォトニクスと呼ぶ技術が鍵を握る。半導体産業を支えるCMOS(相補型金属酸化膜半導体)技術を活用し、レーザーや光導波路、フォトダイオードなどの光学素子をSi基板上に集積する。

 これにより、光を電気に変換する部品をサーバーのプリント基板上に実装したり、半導体パッケージ内に実装したりできる。光電変換部品を半導体チップに近づけることで、電気的な損失を減らせるのがメリットだ。

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