https://news.yahoo.co.jp/articles/731c6fd240a7fc8f15ebe62faf35e5527bc83d80
https://www.google.com/search?q=MCH%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%80%E7%87%83%E6%96%99&sca_esv=0dba993661c510c2&sxsrf=ADLYWII2tu3eLE-7eCW9A-H60Te5ZNdvUA%3A1722040122505&ei=Oj-kZtKxHtyo2roP37LxwAE&ved=0ahUKEwjStqmu-8WHAxVclFYBHV9ZHBgQ4dUDCBA&uact=5&oq=MCH%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%80%E7%87%83%E6%96%99&gs_lp=Egxnd3Mtd2l6LXNlcnAiEk1DSOOBqOOBr-OAgOeHg-aWmTIEEAAYHjIIEAAYgAQYogQyCBAAGIAEGKIEMggQABiABBiiBDIIEAAYgAQYogRIwh5QO1iGG3ABeAGQAQCYAVqgAdMGqgECMTC4AQPIAQD4AQGYAgugAuUGwgIKEAAYsAMY1gQYR8ICBRAAGIAEwgIGEAAYBBgemAMAiAYBkAYKkgcCMTGgB6EU&sclient=gws-wiz-serp
3手法で効率輸送 技術確立―利活用、仕組み構築
気体のままでは扱いにくい水素を大量に貯蔵・運搬できる水素キャリアをグローバルネットワークで供給する時代に入ってきた。日本は世界に先行して水素キャリアを開発し、輸送技術の確立から利活用までの仕組みを構築する。水素需要はこれまでの燃料電池から水素キャリア活用のガスタービンやガスエンジン、ボイラに広がりつつある。水素が大きく普及していくステージとなる。大規模な水素の利活用を見据えた企業の取り組みを取材した。(いわき・駒橋徐) 【一覧表】液体水素・MCH・アンモニア…水素キャリアの特徴 水素キャリアには液化水素、MCH(メチルシクロヘキサン)、燃料アンモニアがある。液化水素は水素をマイナス253度Cに冷やして液化し、体積を800分の1にしてより多くの水素を効率よく運べる。ただエネルギーロスが発生し、輸送コストが高い。MCHは常温常圧で貯蔵でき、ケミカルタンカーで運べる。トルエンを分離して水素を取り出し、トルエンは再びMCH合成に利用して循環させる。水素を含むアンモニアはマイナス33度Cで液化できるため扱いやすく、肥料用などですでに供給ネットワークが整う。 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の坂秀憲水素・アンモニア部水素SCチーム長は「どの水素キャリアが良いというのではなく、コストや安全性を含め需要側のインフラ状況も勘案して水素キャリアが選択される。それぞれの特徴をうまく生かして活用することでコストダウンが進み、3キャリアが普及していく」と指摘する。 アンモニアではIHIが実装に入る。体積水素密度が水素キャリア最大規模のアンモニアを用いた実用化となる。まずJERAの愛知県碧南市の出力100万キロワットの石炭火力発電所のボイラに20%アンモニア混焼実証を実施した。また2024年度からIHI相生事業所(兵庫県相生市)にアンモニア専焼ガスタービンを設置し、中型ガスタービンでの長期試験に入っている。米ゼネラル・エレクトリック(GE)と連携し、アンモニア専焼大型ガスタービンも開発する。30年までに開発し、実用化を目指す。 アンモニアの輸入受け入れ基地については今後、北海道苫小牧市、福島県相馬市、大阪府の臨海工業地帯にグループでサプライチェーン(供給網)を整備する。世界8カ所でグリーンアンモニア製造事業を検討し、28年からインドを皮切りにプロジェクトを進める計画だ。 液化水素では川崎重工業がグローバルネットワークの構築を進める。液化水素運搬パイロット船「すいそ ふろんてぃあ」を開発し、日本―豪州間を褐炭から水素を製造・液化し、神戸港への輸送を実証している。29年の完成を目指す商用船は液化天然ガス(LNG)船と同規模の4万立方メートル球形タンク4基を搭載する。液化水素からのボイルオフ(気化)水素はガスエンジンで発電し、動力で利用する。川重は液化水素での水素専焼中小型ガスタービンと大型水素ガスエンジンの陸上用、船舶用で30年以降の実用化に向けた開発を進める。 ガスタービンでは3万4000キロワットまでの機種を実用化し、そのうち1800―3万キロワットまでの機種をDLE(乾式)燃焼の30%水素混焼を事業化している。一方、水素専焼の事業化はこれから。マイクロミックス方式を用いて実用化を目指している。このマイクロミックス方式での水素専焼を、同社はすでに神戸港で1800キロワットガスタービンで20年から実証しており、豪州の液化水素も利用した。「30年代後半からはマイクロミックス水素専焼DLEが中心になっていくだろう」(辰巳康治エネルギーソリューション&マリンカンパニー水素発電プロジェクト開発室長)とみる。 水素ガスエンジンでは5000―7800キロワットで30%まで混焼を実証する。7800キロワットは神戸工場(神戸市中央区)で試験を開始。25年度以降の実用化を目指し、30年度までに専焼を達成する。 MCHでは千代田化工建設がグローバルネットワークを構築する。需要サイトで水素をMCHから分離し、トルエンをMCH生成原料として再利用する循環システムを実現させる。水素分離は触媒で反応温度300―400度C、圧力1メガパスカル(メガは100万)以下で脱水素を99%で安定回収を実現し、2年以上の連続運転を確認する。ブルネイでMCHを製造して海上輸送し、川崎市で脱水素して発電所で実証を終える。 シンガポールでは6月からMCHからの水素を燃料電池車両に供給し、港湾内走行が始まっている。欧州ではスコットランド政府やオランダ港湾公社、10企業と国際コンソーシアムで検討する。「日本では港からコンビナートなどへの水素供給や、国内再生エネの余剰電力をMCHでエネルギーの備蓄・利用もできる」(松岡憲正常務執行役員フロンティアビジネス本部長)と用途は広い。
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上水道から安価な赤さびを触媒として使用して水素を得る技術。海水から過酸化水素水の製造方法及び装置の特許。元のタイトルは、過酸化水素水の製造方法及び装置。
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JP3677078B2
Japan
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English - Inventor
孝之 島宗 保夫 中島 修平 脇田 高弘 芦田 善則 錦 - Current Assignee
- Katayama Chemical Works Co Ltd
- De Nora Permelec Ltd
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、塩水、主として海水を原料として過酸化水素水を電気化学的に製造する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
過酸化水素は、食品、医薬品、パルプ、繊維、半導体工業において不可欠の基礎薬品として有用であり、従来はアントラキノン法により合成されている。
従来から、例えば冷却水として海水を使用する発電所や工場では、復水器内部への生物付着を防止するために、海水を直接電解して次亜塩素酸を生成させ、該次亜塩素酸を有効利用することが試みられている。しかし次亜塩素酸をそのまま放流することは次亜塩素酸自体、及び分解により生成する有機塩素化合物や塩素ガスが有毒で環境保全上問題があり、その規制が強化されつつある。
【0003】
一方微量の過酸化水素を前記冷却水中に添加すると、良好な生物付着防止効果があることが報告され、又養魚場の水質維持にも過酸化水素の添加が効果的であるという報告がなされている。しかも過酸化水素は分解しても無害な水と酸素に変換されるのみで環境衛生上の問題も生じない。
しかしながら過酸化水素は不安定であり、長期間の保存が不可能であるため、又輸送に伴う安全性、汚染対策の面から、オンサイト型装置の需要が高まっている。
【0004】
このような要請に応えるために従来から種々の過酸化水素の製法が提案されている。米国特許第3,592,749 号には数種類の電解装置が提案され、又米国特許第4,384,931 号にはアルカリ性過酸化水素水の製法としてイオン交換膜を用いる電解法が開示されている。更に米国特許第3,969,201 号には三次元構造のカーボン陰極とイオン交換膜から成る過酸化水素の製造装置が記載されているが、得られる過酸化水素の濃度に対してアルカリ濃度が大きくなり、用途に制限が生ずる。更に特公昭59−15990 号には多孔性の隔膜材料と疎水性カーボン陰極を用いる過酸化水素の製法が開示されているが、これらの方法では陽極室から陰極室への電解質溶液の移行量や速度の制御が困難で運転が煩雑である。
【0005】
又陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を用いて3室に区画した電解槽の中間室に硫酸を供給し酸性の過酸化水素水を安定的に得る方法〔Journal of Electrochemical Society, vol.130, p1117(1983)〕や陽極として膜と電極の接合体を使用することにより高性能で過酸化水素を得る方法が提案されている。しかしながらこれらの方法では電力原単位が掛かり経済性に問題がある。しかもこれらの方法ではいずれも過酸化水素がアルカリ水溶液雰囲気で効率良く得られるため、原料としてのアルカリ成分を供給する必要があり、この大量のアルカリ水溶液の輸送にも問題がある。
このように現在に至っても十分に満足できる電解による過酸化水素製造方法及び装置は得られていない。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、塩水を原料としてオンサイトで過酸化水素を高効率で製造するための方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、塩水を電解してアルカリ水溶液を製造し、該アルカリ水溶液及び酸素含有ガスを加えながら水を電解して過酸化水素を含むアルカリ水溶液を製造することを特徴とする過酸化水素水の製造方法、及び該方法に使用可能な過酸化水素水の製造装置である。
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明では、第1段階として塩化ナトリウム水溶液や塩化カリウム水溶液等の塩水、好ましくは海水を電解してアルカリ水溶液を製造し、第2段階として第1段階で得られたアルカリ水溶液及び酸素含有ガスを添加しながら水を電解して過酸化水素を含むアルカリ水溶液を得る。この第2段階で第1段階で生成したアルカリ水溶液を添加するのは過酸化水素の生成効率を高めるためである。即ち中性、酸性域では、単にO2 の4電子還元つまりO2 +2H2 0+4e→4OH- が進行し、H2 O2 を得ることが困難になる。なおアルカリ水溶液の濃度が高過ぎると生成苛性ソーダは問題がないが、アルカリ濃度が高いためにその用途が限られることがある。
【0009】
第1電解槽は、2枚のイオン交換膜を使用して電解槽を陽極室−中間室−陰極室の3室に区画した3室型電解槽でも、1枚のイオン交換膜を使用して陽極室と陰極室に区画した2室型電解槽のいずれでも良い。
3室型電解槽を使用する場合には陽極室と中間室を陰イオン交換膜を使用して区画し陰極室と中間室を陽イオン交換膜を使用して区画し、中間室に塩水を供給しながら通電を行なう。中間室に供給された塩水中のナトリウムイオン等が陽イオン交換膜を透過して陰極室に達し、水の電解還元により生成する水酸イオンと結合して水酸化アルカリを生成し、陰極液がアルカリ水溶液となる。なおこの通常の陰極反応では水素が発生するが、酸素ガスを供給しながら電解を進行させることにより水素を水に変換して水素の発生を抑制して槽電圧の低減を図ることができる。
【0010】
一方中間室に供給される塩水中の塩素イオンは陰イオン交換膜を透過して陽極室に達し、塩素ガスや次亜塩素酸を発生する。塩素ガスや次亜塩素酸の生成を望まない場合は中間室と陽極室を区画するイオン交換膜として陽イオン交換膜を使用すれば良く、塩素イオンは陽極室へも陰極室へも透過できず、陽極側から供給される水素イオンと共に塩酸になり酸性塩水として中間室から排出される。この陽イオン交換膜で陽極室と中間室を区画する態様では、陽極室で通常の水の電解酸化による酸素発生が生じるが、前述の陰極反応と同様に水素ガスを供給しながら電解を進行させることにより発生する酸素を水に変換して酸素の発生を抑制して槽電圧の低減を図ることができる。
前記第1電解槽における陽極反応及び陰極反応は次の通りである。
陽極:2H2 0→O2 +4H+ +4e 又は H2 →2H+ +2e
陰極:2H2 0+2e→H2 +2OH- 又は O2 +H2 O+4e→4OH-
なお第1電解槽として前述の2室型電解槽を使用する場合には、塩水を陽極室に供給しながら電解を行ない、陰極室でアルカリ水溶液を得る。しかし陽極室で塩素ガスが発生するため、後述するアルカリ性を中和するための酸性塩水は得られない。
【0011】
次いで前記陰極室で生成したアルカリ水溶液を第2電解槽に供給する。該第2電解槽は、1枚のイオン交換膜等の隔膜で陽極室及び陰極室に区画した2室型電解槽があることが好ましく、隔膜として中性膜又は陰イオン交換膜を使用する場合には前記アルカリ水溶液は陽極室及び陰極室のいずれに供給しても良く、隔膜として陽イオン交換膜を使用する場合には陰極室に供給する。
陰極室に酸素含有ガスを供給しながら通電すると下記の反応式に従って陰極室で過酸化水素が生成する。
陽極:2H2 0→O2 +4H+ +4e 又は H2 →2H+ +2e
陰極:O2 +H2 0+2e→OH- +HO2 - (過酸化水素)
【0012】
第2電解槽で得られる過酸化水素は同時に生成する水酸イオンを含むアルカリ水溶液に溶解しているためアルカリ性水溶液として得られるが、中性領域の水溶液が望ましい場合には、第1又は第2電解槽の陽極室で得られる酸性水と混合すれば良い。
次に前述の各電解槽を構成する部材及び運転条件につき説明する。
第1及び第2電解槽とも電極としては通常の板状又は多孔性電極あるいはガス電極のいずれも使用可能である。陽極として使用する板状又は多孔性電極である酸素発生陽極は、チタン、ニオブ、タンタル等の耐食性を有する金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体等の基材上に、白金、イリジウム、ルテニウム等の貴金属又はそれらの酸化物から成る触媒を、熱分解法、樹脂による固着法、複合めっき法等により10〜500 g/m2 程度の担持量になるように担持して製造できる。
【0013】
水素発生陰極の場合も同様に、白金、イリジウム、ルテニウム等の貴金属又はそれらの酸化物から成る触媒を熱分解法等により、ニッケル焼結体等の基材上に1〜500 g/m2 程度の担持量になるように担持して製造できる。
水素ガス陽極の場合は、チタン、ニオブ、タンタル、カーボン等の耐食性を有する網状体、粉末焼結体、繊維焼結体等の基材上に、白金、イリジウム等の貴金属又はそれらの酸化物又はカーボンから成る触媒を、熱分解法、樹脂による固着法、複合めっき法等により10〜500 g/m2 程度の担持量になるように担持して製造できる。反応生成ガス、液の供給、除去を速やかに行なうために疎水性や親水性の材料を分散担持することが好ましい。
【0014】
酸素ガス陰極の場合も同様に、ステンレス、ジルコニウム、銀、カーボン等の耐食性を有する網状体、粉末焼結体、繊維焼結体等の基材上に、金、銀、白金、イリジウム等の貴金属又はそれらの酸化物及び/又はカーボンから成る触媒を、熱分解法、樹脂による固着法、複合めっき法等により10〜500 g/m2 程度の担持量になるように担持して製造できる。水素ガス陽極の場合と同様に疎水性や親水性の材料を分散担持することが好ましい。
使用するイオン交換膜はフッ素樹脂系、炭化水素樹脂系のいずれでも良いが、耐食性の面から前者が望ましい。イオン交換膜は、陽極及び陰極で生成した各イオンが対極で消費されるのを防止するとともに、本発明のように液の電導度が低い場合でも電解を速やかに進行させる機能を有する。
【0015】
前述のガス電極の場合、イオン交換膜と陰極の間に陰極液室、陽極と該膜の間に陽極液室を設けても良いが、液の電導度が低い場合、槽電圧の増加となり、又槽構造が複雑になり、各ガス電極の気液分離性能が必要となる等不利な点が多い。従って電極をイオン交換膜に接合する構造が最も好ましい。本発明の場合、陽極室を実質的なガス室とすることができるが、陰極室ではアルカリ水溶液や過酸化水素水が生成するため、気液混合状態となる。
電極とイオン交換膜を接合させる必要がある場合には前もってそれらを機械的に結合させておくか、あるいは電解時に圧力を与えれば良い。該圧力としては0.1 〜30kgf/cm2 が好ましい。
【0016】
原料である水素ガスや酸素ガスは市販ボンベを使用しても良いが、別に設置した電解槽で水の電解により製造したものを使用しても良く、前述の第1電解槽で発生する水素及び酸素ガスを使用することが最も好ましい。別に電解槽を設置する場合には、イオン交換膜の両面に電極を接合し、純水を原料とする電解方式を用いることが好ましい。経済性の観点からこの電解槽を本発明の前述の電解槽と一体化することもできる。本発明の利用分野によっては、この電解槽の陽極からオゾンガスを発生させることも可能であり、エネルギーの有効利用の観点からはこのように構成することが望ましい。
水素の供給量は理論量の1.2 倍程度、酸素の供給量は理論量の1.2 〜100 倍程度が良い。
【0017】
前述の第1電解槽の中間室の厚さは抵抗損失を低下させるためになるべく薄くすべきであるが、塩水を供給する際のポンプの圧力損失を小さくし圧力分布を均一に保つために1〜10mmとするのが好ましく、又中間室の両側のイオン交換膜が接触しないように絶縁性及び耐食性の優れたスペーサーを挿入することが好ましい。
該第1電解槽における塩水の分解率が大きくなるとプロトンの濃度が増加し陰極側へのナトリウム等の陽イオンの輸率を低下させる。従って前記分解率は40〜80%に維持することが好ましい。この塩水として海水を使用する場合、膜特性に悪影響を及ぼすカルシウム、マグネシウム、重金属イオン、SS及び固形分を前もって除去してイオン交換膜を保護することが望ましい。この前処理としてはストレーナーやフィルターを設ける以外に、該第1電解槽で生成するアルカリ水溶液の一部を取水口に注入して前記イオンを沈澱させておくことが効果的でありかつ好ましい。
【0018】
第1電解槽の運転条件は、温度は5〜40℃、電流密度は1〜50A/dm2 、中間室への供給塩水濃度を20〜300 g/リットルとすることが好ましい。このような条件で生成するアルカリ水溶液の濃度が高過ぎるときはそのまま使用すると前述した通り逆効果となることがあるため、純水で希釈して第2電解槽で必要なアルカリ水溶液濃度に調節することが望ましく、用途にも依存するがpH10以上、濃度35%以下のアルカリ水溶液を添加することが好ましい。第2電解槽の材料は耐久性及び過酸化水素の安定性維持の観点から、ガラスライニング材料、カーボン、耐食性チタン、ステンレス、PTFE樹脂などが好ましい。
なお条件によっては第1及び第2電解槽を一体化しても良い。
【0019】
次に添付図面に基づいて本発明方法及び装置を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明方法を例示するフローチャートである。
原料である海水1を貯留しかつ固形分を濾過等により除去するためのストレーナー2内の前記海水1がポンプ3により第1電解槽4により供給され、該第1電解槽4で電解されて、アルカリ水溶液と酸性海水が生成する。該第1電解槽4で生成したアルカリ水溶液は一部が循環ライン5を通って前記ストレーナー2に循環され、残りのアルカリ水溶液は供給ライン6により第2電解槽7に供給される。該第2電解槽7では通常の水電解が行なわれるが、該電解槽に供給されたアルカリ水溶液が過酸化水素の生成を促進し、高濃度の過酸化水素が生成し過酸化水素を含有するアルカリ水溶液として第2電解槽7から取り出され、混合用ライン8を通って混合タンク9へ供給される。一方前記第1電解槽4で生成した酸性塩水は迂回ライン10を通って前記混合タンク9へ供給され、前記過酸化水素を含有するアルカリ水溶液と混合されてほぼ中性の過酸化水素水として該混合タンク9から取り出される。
【0020】
図2は、図1の第1電解槽の縦断面図、図3は、図1の第2電解槽の縦断面図である。
第1電解槽4は、2枚の陽イオン交換膜11及び12により陽極室13、中間室14及び陰極室15に区画され、前記中間室14には網状のスペーサー16が収容されている。前記陽極室13側の陽イオン交換膜11の陽極面側には、チタン等の基材に貴金属酸化物等の触媒を担持して成る多孔性陽極17が、又前記陰極室15側の陽イオン交換膜12の陰極面側には、チタン等の基材に白金等の触媒を担持して成る多孔性陰極18が、それぞれ陽イオン交換膜に密着状態で設置されている。
陽極室下部及び上部側面には、純水供給口19及び陽極液及び酸素ガス取出口20がそれぞれ設置され、又中間室下面及び上面には塩水供給口21及び塩水取出口22がそれぞれ設置され、更に陰極室下部及び上部側面には、純水供給口23及びアルカリ水溶液取出口24がそれぞれ設置されている。
【0021】
第2電解槽7は、陽イオン交換膜25により陽極室26及び陰極室27に区画され、前記陽イオン交換膜25の陽極室側には、チタン等の基材に貴金属酸化物等の触媒を担持して成る多孔性陽極28が、又前記陽イオン交換膜25の陰極室側にはチタン等の基材に炭素、金等の触媒を担持して成る多孔性陰極29が、それぞれ陽イオン交換膜に密着状態で設置されている。
陽極室上部及び下部側面には、水素ガス及び陽極液供給口30及び陽極液取出口31がそれぞれ設置され、又陰極室下部及び上部側面には、酸素及び前記取出口24から取り出されたアルカリ水溶液の供給口32及び過酸化水素水を含有するアルカリ水溶液取出口33がそれぞれ設置されている。
両電解槽4及び7は図1のフローチャートで示した通りに配置されて、過酸化水素を生成する。
【0022】
【実施例】
次に本発明による過酸化水素水の製造の実施例を記載するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例1】
それぞれ電極面積が0.2 dm2 である酸化イリジウム粉末触媒を被覆した気液透過性のチタン製多孔性陽極及び酸化ルテニウム粉末触媒を被覆したニッケル製多孔性陰極を電解槽の陽極室及び陰極室に収容し、前記陽極を陽イオン交換膜ナフィオン117 (デュポン社製)に密着させかつ前記陰極を陽イオン交換膜ナフィオン350 (デュポン社製)に密着させて両陽イオン交換膜間に厚さが3mmの中間室を形成した。該中間室にはポリプロピレン製の網の積層体をスペーサーとして配設し、次いで全体を締め付けて図2に示すような第1電解槽を構成した。
【0023】
この第1電解槽の陽極室、中間室及び陰極室のそれぞれには順に、純水を毎分1cc、30g/リットルの塩化ナトリウム水溶液を毎分10cc及び純水を毎分3ccの割合で供給しながら、温度40℃、電流1Aで電解を行なったところ、槽電圧は2.5 Vであり、陰極室出口からは25g/リットルのアルカリ(水酸化ナトリウム)水溶液が電流効率80%で得られ、又陽極室出口からは25g/リットルの酸性塩水溶液が電流効率80%で得られた。
それぞれ電極面積が0.2 dm2 である白金触媒を被覆した気液透過性のカーボン製ガス陽極及び金触媒を被覆したカーボン製ガス陰極を、陽イオン交換膜ナフィオン117 (デュポン社製)で区画した電解槽の陽極室及び陰極室に前記陽イオン交換膜に密着するように収容し、全体を締め付けて図3に示すような第2電解槽を構成した。
【0024】
この第2電解槽の陽極室には前記第1電解槽の陰極室で発生した水素に加えて市販の工業用水素ボンベからの水素ガスを合計毎分10ミリリットルで供給し、一方陰極室には工業用酸素ボンベからの毎分500 ミリリットルの酸素ガス及び前記第1電解槽で生成した25g/リットルのアルカリ水溶液を毎分1ミリリットルの割合で供給しながら、温度30℃、電流1Aで電解を行なったところ、槽電圧は1.5 Vであり、陰極室出口からは10g/リットルの過酸化水素を含むアルカリ水溶液が電流効率95%で得られた。該水溶液を前記第1電解槽で生成した酸性塩水と混合することにより、ほぼ中性の0.5 %過酸化水素水溶液が毎分10ccの割合で得られた。
【0025】
【実施例2】
実施例1と同じ第1電解槽を構成し、該第1電解槽の陽極室、中間室及び陰極室のそれぞれに順に、純水を毎分1cc、30g/リットルの海水を毎分10cc及び純水を毎分3ccの割合で供給しながら、温度40℃、電流2Aで電解を行なったところ、槽電圧は4.5 Vであり、陰極室出口からは25g/リットルのアルカリ水溶液が電流効率80%で得られ、又陽極室出口からは25g/リットルの酸性海水が電流効率60%で得られた。
このとき生成したアルカリ水溶液の一部を原料海水のタンクに注入し、カルシウム、マグネシウム及び重金属イオンを沈澱させた。SS及び固形分は前処理としてストレーナーと濾過フィルターにより除去した。
【0026】
実施例1と同じ第2電解槽を構成し、該第2電解槽の陽極室には、前記第1電解槽の陰極室で発生した水素に加えて市販の工業用水素ボンベからの水素ガスを合計毎分10ミリリットルで供給し、一方陰極室には酸素濃縮装置(日本酸素株式会社製OA−2L)からの酸素ガス毎分2リットルと25g/リットルの前記第1電解槽で生成したアルカリ水溶液毎分1ミリリットルの割合で供給しながら、温度30℃、電流1Aで電解を行なったところ、槽電圧は1.5 Vであり、陰極室出口からは10g/リットルの過酸化水素を含むアルカリ水溶液がが電流効率95%で得られた。該水溶液を前記第1電解槽で生成した酸性塩水と混合することにより、ほぼ中性の0.5 %過酸化水素水溶液が毎分10ccの割合で得られた。
【0027】
【発明の効果】
本発明方法は、塩水を電解してアルカリ水溶液を製造し、該アルカリ水溶液及び酸素含有ガスを加えながら水を電解して過酸化水素を含むアルカリ水溶液を製造することを特徴とする過酸化水素水の製造方法である。
この本発明方法によると、冷却水や養魚場水等の殺菌に効果のある過酸化水素水が海水等の塩水と純水のみを原料として使用して製造できる。この過酸化水素は従来から海水等の冷却水の殺菌用として使用されている次亜塩素酸と異なり分解しやすく残留することが殆どなく、しかも分解生成物も水と酸素であるため、環境に悪影響を与えることがない。
【0028】
そして第1段階で製造したアルカリ水溶液を第2段階で添加して過酸化水素の製造を促進しているため、過酸化水素製造の電流効率が上昇し、従来と比較して多量の過酸化水素を得ることができる。又このアルカリ水溶液はオンサントで製造されるため、輸送上の問題が生じない。
更に本発明方法は電解槽及び原料としての塩水及び純水以外を必要としないためオンサイト製造を容易に行なうことができ、製造された過酸化水素をそのまま殺菌等に使用できるため過酸化水素の欠点である分解しやすさも克服できる。又前述の通り原料が塩水と純水のみであるため、殺菌用として過酸化水素が広く使用されている海水を冷却水として使用する際の冷却水及びその装置の場合は純水のみを準備すれば良く、コストが殆ど掛からないだけでなく、輸送も容易で輸送時の物質の分解も考慮する必要がなく、従来の欠点の殆どが解消された画期的な過酸化水素水の製造方法が提供される。
【0029】
用途によっては中性の過酸化水素水が必要な場合もあるが、本発明の3室型電解では酸性塩水も副生し、この酸性塩水を前述の過酸化水素を含むアルカリ水溶液と混合することによりほぼ中性の過酸化水素を得ることができる。
本発明装置は、塩水を電解してアルカリ水溶液を製造する第1電解槽、及び前記アルカリ水溶液及び酸素含有ガスを供給しながら電解を行ない過酸化水素を含むアルカリ水溶液を製造する第2電解槽を含んで成ることを特徴とする過酸化水素水の製造装置である。
【0030】
この装置を使用すると前述の本発明方法と同様に従来と比較して多量の過酸化水素を含む水溶液を得ることができる。
そして使用する電極をガス電極とし、水素ガスや酸素ガスを供給しながら電解を行なうとそれぞれ酸素ガス及び水素ガスの発生を抑制して槽電圧の低下を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を例示するフローチャート。
【図2】図1の第1電解槽の縦断面図。
【図3】図1の第2電解槽の縦断面図。
【符号の説明】
1・・・海水 2・・・ストレーナー 3・・・ポンプ 4・・・第1電解槽
7・・・第2電解槽 9・・・混合タンク 11、12・・・陽イオン交換膜 13・・・陽極室 14・・・中間室 15・・・陰極室 16・・・スペーサー 17・・・多孔性陽極 18・・・多孔性陰極 25・・・陽イオン交換膜 26・・・陽極室
27・・・陰極室 28・・・多孔性陽極 29・・・多孔性陰極
Claims (4)Hide Dependent
- 塩水を電解してアルカリ水溶液を製造し、該アルカリ水溶液及び酸素含有ガスを加えながら水を電解して過酸化水素を含むアルカリ水溶液を製造することを特徴とする過酸化水素水の製造方法。
- 塩水を電解して酸性塩水とアルカリ水溶液を製造し、該アルカリ水溶液及び酸素含有ガスを加えながら水を電解して過酸化水素を含むアルカリ水溶液を製造し、該過酸化水素を含むアルカリ水溶液と前記酸性塩水を混合してpHが5から9の過酸化水素を含む水溶液とすることを特徴とする過酸化水素水の製造方法。
- 塩水を電解してアルカリ水溶液を製造する第1電解槽、及び前記アルカリ水溶液及び酸素含有ガスを供給しながら電解を行ない過酸化水素を含むアルカリ水溶液を製造する第2電解槽を含んで成ることを特徴とする過酸化水素水の製造装置。
- 第1電解槽が、2枚のイオン交換膜により多孔性又はガス陽極を有する陽極室、多孔性又はガス陰極を有する陰極室及び両極室間に形成される中間室に区画され、該中間室に塩水を供給し、陽極室で酸性塩水を、陰極室で過酸化水素を含むアルカリ水溶液を得るようにした請求項3に記載の過酸化水素水の製造装置。
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