https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/01198/
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NTTと岡山大学は、スマートフォンをはじめとする無線通信端末に用いるギガヘルツ帯の超音波回路に、トポロジーの原理を適用する技術を開発した。同技術によって、半導体チップ上でも反射の影響を受けずに超音波の流れを自在に制御できるようになる。従来、1つのデバイスにつき単一のフィルター機能しか構築できなかったが、同技術を用いれば多数のフィルターを1つの小さな基板上に構築可能。超音波フィルターの小型・高性能化が期待できるとしている。
超音波フィルターは、必要な信号のみを精密に抽出して受信する機能で、無線通信端末において重要な役割を果たす。高性能なスマートフォンでは100個近い超音波フィルターを搭載し、異なる帯域の信号を送受信している。今後は高性能化に当たってさらに多くのフィルターが必要となる一方で、小型化も求められている。
しかし従来は、電気の配線のように経路を曲げて特定の周波の超音波だけを導くことは困難だった。急な方向の変化は後方への反射を引き起こすためだ。
そこで、両者は数学の理論であるトポロジー(位相幾何学)を活用して、ギガヘルツ超音波の後方反射を抑えて伝搬できる「トポロジカル超音波回路」を実現した。この回路を伝わる超音波は、周囲の周期孔の形状によってつくられる「トポロジカル秩序」で守られ、安定して伝搬する。これにより超音波フィルターは、従来技術の100分の1以下の大きさである数百平方マイクロメートルへの小型化が見込める。
具体的に用いた特性は「バレー擬スピン依存伝導」と呼ばれるもの。導波路に、多数の周期孔を持つ2種類のトポロジカル構造を設計。この2種類の構造の接合面に外部から超音波が加わると、互いに反対方向に回転する「バレー擬スピン」と呼ぶ現象が発生し、これによって接合面に沿って一方向の超音波伝搬が生じる。
今後は、外部磁場で超音波を動的に制御できる技術の確立を目指す。同技術の高性能化によって、フィルターのみではなく、周波数変換器や増幅器などの無線通信端末に必要な処理を同一チップ上で処理できるようになれば、さらなる小型化や省エネルギー化が見込めるという。
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