imecは超電導技術で、AI処理の電力効率を飛躍的に高める(出所:imec)
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imecは超電導技術で、AI処理の電力効率を飛躍的に高める(出所:imec)

 ベルギーの半導体研究機関であるimecは、靴箱の大きさにまで小型化したAI(人工知能)データセンターを提唱した。超電導技術を使い、電力効率を従来と比べて100倍に高める。今後は3世代に分けて進化させ、深層学習や量子コンピューターの分野での応用を狙う。

imecは今後、段階的に「靴箱サイズ」達成を目指す
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imecは今後、段階的に「靴箱サイズ」達成を目指す

 生成AIが爆発的に普及する中、課題となっているのがデータセンターで消費される膨大な電力だ。環境負荷や計算コストを考えると、今の技術の延長線上では必要な電力は、世界で供給できる電力をすぐに超えてしまう。

 そこで、高性能でありながら、小型かつ消費電力が小さいプロセッサーが必要になる。従来のプロセッサーは、他のプロセッサーやメモリーとの間のデータ移動に大きな電力を必要としていた。その分、発熱も大きい。

 超電導技術の特徴は、極低温の状態で電気抵抗がほぼゼロになること。電気の通り道であるインターコネクトを超電導材料で製造すると、臨界温度以下であれば電力を消費しない。2022年ごろに実施したimecの予測によれば、構想する超電導AIデータサーバーは、現状最先端のCMOSベースのプロセッサーと比べて電力効率は100倍、実装面積当たりの計算量を指す「計算密度」は1000倍になると推定できた。

超電導AIデータサーバーのボード概略断面図。3次元集積が特徴(出所:imecの資料を日経クロステックが編集)
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超電導AIデータサーバーのボード概略断面図。3次元集積が特徴(出所:imecの資料を日経クロステックが編集)

 超電導技術を使ったコンピューターの例はこれまでもある。古くは1969年に、米IBMによる「ジョセフソン・コンピューター」の開発プロジェクトが発足している。2020年には、横浜国立大学が超電導CPU「MANA 1」を発表した。

 imecの超電導AIデータサーバーと従来の提案技術との違いは大きく2つ。メモリーを含めたシステム全体を超電導化している点と、AIデータサーバーの機能を靴箱サイズまで小型化できる点である。