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2020年12月19日 06時00分
政府は18日の閣議で、地上から艦艇を狙う陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾(SSM)の射程を延ばし、敵の射程圏外から攻撃可能な長距離巡航ミサイルとして開発する方針を決定した。敵基地攻撃能力保有に関しては「引き続き政府で検討を行う」として結論を先送りしたが、国会や有識者らの十分な議論を経ないまま、装備の上では敵基地攻撃能力の保有をさらに進めた。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」代替策として、新型イージス艦2隻を建造することも決定した。
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12式SSM開発は「スタンド・オフ・ミサイル」と呼ばれ、射程を現行の百数十キロから900キロ程度に延長。21年度予算案には335億円を計上し、5年かけて開発する。政府はすでに、ノルウェーや米国からの長距離巡航ミサイル取得や必要な戦闘機改修を進めているが、今回初めて国産で開発する。
岸信夫防衛相は18日の閣議後会見で、12式SSM開発について「自衛隊員の安全を図りながら相手を攻撃できることは、南西地域の島嶼 防衛のために必要だ」と説明。加藤勝信官房長官は会見で「敵基地攻撃を目的とするものではない」と強調した。
敵基地攻撃能力を巡っては、安倍政権が6月、秋田、山口両県への地上イージス配備を撤回。安倍晋三前首相は退陣直前の9月に発表した談話で、地上イージス代替策とともに、保有に向けた検討について年内に結論を出すよう次期政権に事実上促した。
菅義偉首相は地上イージス代替策に関しては検討を進めたが、専守防衛を逸脱する恐れのある敵基地攻撃能力保有に対しては公明党内に反対論が根強く、調整が難航。年内の結論は見送ることとした。
国民的議論がないまま、閣議決定によって実質的に保有を進める形となり、「専守防衛と戦後歩んできた防衛政策から逸脱する恐れがある」(安住淳・立憲民主党国対委員長)との批判が上がっている。(上野実輝彦)
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