「1+1=3」――。
「いきなりなんだよ。『1+1=2』だろっ!」と思われた人も多いだろうが、カバン業界でこの公式にあてはまるリュックが登場したのだ。「吉田カバン」の吉田(東京都千代田区)が発売した「PORTER TWIN PACK」(以下、ツインパック)のことである。
1つは、パソコンを収納できるポケットを備えたビジネス用として。もう1つは、カジュアルなシーンに合うデイパック用として。これだけだと「1+1=2」になるが、このリュックは違う。2つをくっつけて「3つめの使い方」ができることもあって、業界関係者やカバン愛好家の間で注目を集めているのだ。
吉田カバンから「PORTER TWIN PACK」が登場。色は、チャコールグレー、ブラック、コヨーテ
Lサイズは幅330×高さ450×奥行き160ミリ(合体時)、価格は5万1150円、Sサイズは、幅310×高さ410×奥行160ミリ(合体時)、価格は4万7850円
同社は以前、リュックを折りたたむと、コンパクトなポーチになるカバンをつくっていた。しかし、1つのリュックが2つのリュックに分離するタイプは、初めてのことである(筆者が調べたところ、他社でもこのようなカバンを見つけることができなかった)。リュックは2種類を用意していて、LサイズはB4ファイルや15インチのノートパソコンを収納でき、SサイズはA4ファイルや13インチのモノが入る。今年の5月下旬に発売したところ、じわじわ売れているそうだ。
それにしても、なぜ吉田はこのようなカバンを開発したのだろうか。吉田カバンといえば、ベーシックなモノが多い。街中を歩いているビジネスパーソンを見ても、「PORTER(ポーター)」「LUGGAGE LABEL(ラゲッジレーベル)」などのブランドで、ブリーフケースやトートバッグを持っている人が多い。もちろんリュックも扱っているが、こちらもベーシックなデザインをよく目にする。
奇をてらったデザインだったり、ちょっと変わった機能を搭載したり。そうしたカバンを目にすることが少ない中で、なぜ「1+1=3」になるようなリュックを開発したのだろうか。同社で広報を担当している岡田博之さんに聞いたところ、このような答えが返ってきた。
「新型コロナの感染が広がって、テレワークをする人が増えてきました。コロナ前は『パソコンを家に持ち帰ってはいけない』といった会社が多かったのに、コロナ禍になると『パソコンを持ち帰っていいですよ。家で仕事をしてくださいね』といった会社が増え、ビジネスパーソンの働き方が大きく変わりました。そうした環境の変化に合わせる形で、『ツインパック』を開発しました」とのこと。
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