https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1568419.html
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米ニューヨーク大学(New York University, NYU)は9日(現地時間)、古典コンピュータで量子コンピュータよりも高速かつ正確な計算が可能となるアルゴリズムを開発したと発表した。
量子状態に格納された情報の一部だけを保持し、最終的な計算結果を正確に求められるだけの情報を残すことによって、古典コンピュータ上で量子ビット間の相互作用を再現するアルゴリズム。NYUのJoseph Tindall氏、Matthew Fishman氏、E. Miles Stoudenmire氏、Dries Sels氏らの研究チームによる共同成果。
一般的に量子コンピュータの優れた点は高速な計算速度と処理能力にあるとされるが、その一方でエラーが生じやすく情報が損失する可能性が高いこと、また量子ビットの特性により、有用な計算結果を得るために必要となる古典的な情報への変換が難しいなどの課題を抱えている。
本研究では、多数のテンソル積の縮約によって構成された格子(もしくは網目)状のダイヤグラム、いわゆる「テンソルネットワーク」の活用に焦点を当てており、テンソルネットワークの最適化によって古典コンピュータで量子ビット間の相互作用を忠実に再現する手法を採っている。
ネットワークを構成する個々のテンソル(型のデータ)はスカラー、ベクトル、行列などの多次元配列を表現するためのデータ構造であり、これをネットワークの形で扱うメリットは、計算量を削減できること。本アルゴリズムは少ない計算リソースを有効活用する方向性の研究成果となる。
研究チームでは本アルゴリズムの働きをJPEG圧縮に例えて「元画像からほとんど知覚できない程度に情報を削除することで、より少ない容量で大きな画像を保存できるようなもの」と表現した。論文の共同著者の一人、Joseph Tindall氏はニュースリリースの中で「異なるテンソルネットワーク構造を選択することは、さまざまな画像形式を選択することに相当し、我々はそのためのツール開発に成功している。量子コンピューティングの水準をさらに引き上げることができる日も近いだろう」と述べている。
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