2024年2月7日水曜日

「n型ダイヤMOSFET」「銅パターンに新技術」 半導体動向 ハードウエア グローバルトレンド 電機 半導体。2024年2月7日 5:00

https://www.nikkei.com/prime/tech-foresight/article/DGXZQOUC011130R00C24A2000000?n_cid=NPMTF000P_20240207_a19

https://www.nikkei.com/prime/tech-foresight/article/DGXZQOUC011130R00C24A2000000?n_cid=NPMTF000P_20240207_a19


    半導体に関する注目動向をダイジェスト形式でお届けします。

    物材機構がn型ダイヤモンドMOSFET開発、CMOS集積回路を実現へ

    物質・材料研究機構(NIMS)は、ダイヤモンドを素材とするnチャネル型MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を開発した。これにより、ダイヤモンドCMOS集積回路が実現可能となり、ダイヤモンド半導体をパワーエレクトロニクスなどに応用できるようになる。
    世界で初めてn型ダイヤモンドMOSFETを開発した(出所:物質・材料研究機構)
    低濃度のリンを添加したn型ダイヤモンド結晶をチャネル層に、高濃度のリンを添加したダイヤモンドをソースおよびドレインのコンタクト層に使用することで接触抵抗を大幅に低減させ、セ氏300度において電界効果移動度約150cm²/V・sの高温動作特性を実現した。NIMSが世界に先駆けて開発した高品質単結晶n型ダイヤモンド半導体成長技術を基に開発した。ダイヤモンド半導体は、高い絶縁耐圧や高速スイッチング、高温・高放射線被曝環境で動作可能といった特性を持つ。省エネパワーエレクトロニクス、スピントロニクス、耐環境型の微小電気機械システム (MEMS) センサーなどの実現に役立つ技術になるとしている。
    〈関連論文〉
    High-temperature and high-electron mobility metal-oxide-semiconductor field-effect transistors based on n-type diamond
    https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202306013
    〈詳細情報〉
    https://www.nims.go.jp/news/press/2024/01/202401250.html

    立命大が銅微細パターン形成の新技術、環境負荷を低減

    立命館大学は、銅の微細パターンを高速に形成する加工技術を開発した。一般的な銅の微細パターン加工技術であるフォトリソグラフィーと異なり、特殊な装置や薬液などを必要としないことから、電子機器製造の低コスト化、環境負荷の低減につながる技術になるとしている。
    銅表面へのパターン形成には、固体の状態で液体のようにイオンの電気伝導が可能な固体高分子電解質膜(PEM)を用いる。PEMの表面にパターンを持たせた「PEMスタンプ」を作製し、銅の表面にスタンプを押すような形で電解加工を施すことで、数μ〜数百nmレベルの微細パターン形成が可能となることを示した。フォトリソグラフィーで用いる高価な装置やレジスト、薬液が不要になることから、環境負荷を減らすともに、企業が容易に導入できる費用対効果の高い技術だとしている。
    〈関連論文〉
    Cu Direct Nanopatterning Using Solid-State Electrochemical Dissolution at the Anode/Polymer Electrolyte Membrane Interface
    https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/admi.202300896
    〈詳細情報〉
    https://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=605585&f=.pdf

    インフィニオンがSiCウエハー調達を強化、ウルフスピードとの契約延長

    ドイツInfineon Technologies(インフィニオンテクノロジーズ)は、米Wolfspeed(ウルフスピード)との炭化ケイ素(SiC)ウエハー長期供給契約を拡大・延長する。自動車や太陽光、EVアプリケーション、蓄電システム向けSiC半導体の需要増に備える。
    2018年2月に締結した口径が150mmのSiCウエハー長期供給契約を延長し、複数年の生産能力予約を含む契約を締結した。インフィニオンは、150mm及び200mmウエハーを安定的に調達するために、マルチソーシング戦略を進めている。

    中央大などが薄くて柔らかいシート型光センサー、非侵襲モニタリングや非破壊検査など向け

    中央大学などの研究グループは、測定対象物を傷つけない薄くて柔らかいシート型光センサーを開発した。生体や生体代謝物の非侵襲モニタリング、インフラ構造物の非破壊検査、配管内部の非採取検査など、様々な検査技術に応用できるとしている。
    広帯域の電磁波を吸収できるカーボンナノチューブ膜を光検出器として利用することで、可視光から熱や化学分析に適した長波長(赤外〜テラヘルツ)までの検出を可能にした。この光検出器と有機トランジスタを厚さ5μm以下の極薄膜基材に格子状に実装することで、高い柔軟性と曲げ耐久性を持つ構造を実現した。無線計測システムと統合することで携帯性も高め、ウエアラブルデバイスや、工業製品や建造物の非破壊検査用ポータブル撮像機器などに活用できるものになっている。大阪大学と共同で開発した。
    〈関連論文〉
    Ultraflexible Wireless Imager Integrated with Organic Circuits for Broadband Infrared Thermal Analysis
    https://doi.org/10.1002/adma.202309864
    〈詳細情報〉
    https://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/communication/press/2024/01/69659/

    東工大などが強誘電性二量体分子液晶を開発、コンデンサーやディスプレーの性能向上へ

    東京工業大学は、低温で巨大な自発分極と比誘電率を示す強誘電性二量体分子液晶の開発に成功した。これを適用することで、コンデンサーや圧電素子、静電アクチュエーター、3次元(3D)映像表示素子などの性能が向上するとしている。
    フッ素置換されたメソゲンコアをサイドウイングとしてペンタメチレンスペーサーで連結した構造を持つdi-5(3FM-C4T)という二量体分子を合成し、セ氏55〜211度の低温で液晶を発現すること、8μC/cm²を超える自発分極、8000を超える比誘電率を示すことを確認した。これをコンデンサーに適用することで、電子機器の小型化、省電力化が可能になるほか、低電圧駆動が可能な圧電素子や静電アクチュエーター、ホログラフィックディスプレーを実現するための3D映像表示素子として、自動車、産業ロボット、医療機器などの分野での応用が見込めるとしている。韓国LG Electronics(LG電子)の日本法人傘下の研究法人LG Japan Lab(LGジャパンラボ、横浜市)と共同で開発した。
    〈関連論文〉
    Three Distinct Polar Phases, Isotropic, Nematic, and Smectic-A Phases, Formed from a Fluoro-Substituted Dimeric Molecule with Large Dipole Moment
    https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jpcb.3c02259
    〈詳細情報〉
    https://www.titech.ac.jp/news/2024/068332
    (ライター 加藤樹子)

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