[最終更新日]2017/03/04
オンコロの可知です。
以前(2017/1/19)、「拡大治験がひっそりと開始していた・・・ ~ROS1陽生非小細胞肺がん、尿路上皮がん(膀胱がん等)、頭頸部がん、悪性胸膜中皮腫~」という記事を書きましたが、そのときは非常に悔しい気持ちで一杯でした。
なぜなら、膀胱がんや頭頸部がんの方で、この拡大治験であれば対象になりそうな方からお電話頂いた方に対して「治験がなさそうだ」と回答していたからです。
頭頸部がん領域の某先生によくぞ書いてくれたと言われたのが、唯一の救いでしょうか・・・現在は、対象となりそうな人には積極的にこれらの情報を教えている日々です。
さて、「あれから日常的に医薬品医療機器総合機構(PMDA)のサイトを粘着していました。毎日毎日見に行きました。」
というのは嘘で、すぐわかったのは、「これは月末更新してるな」ということです。
よって、月末にPMDAの拡大治験のサイトをチェックすればいいんだと思い、(2日遅れましたが)今日チェックしたら追加されている拡大治験が2試験。
「BRCA遺伝子変異を有する進行又は再発卵巣癌にてAZD2281」と「肝細胞癌にてBAY73-4506」です。
既に(というかとっくに)米国承認済みのオラパリブ
AZD2281はPARP阻害薬オラパリブのことです。PARP阻害薬はBRCA遺伝子変異陽性がんに対して期待されている薬剤となります。
BRCA遺伝子変異が認められるがんとしては、乳がん(約3~5%)、卵巣がん(約10%)、前立腺がん(約2%)となり、発症する生涯リスクは、乳がんは40~80% 卵巣がんは11~40% 男性乳がんは1~10% 前立腺がんは最大39%、 膵がんは1~7%といわれています。
FDAでは、2014年12月に「3回以上の化学療法による治療歴のある病的あるいは病的であることが疑われる生殖細胞系BRCA 遺伝子変異陽性(gBRCAm)進行卵巣がん」の適応にて承認されている一方、日本ではやっと希少疾病医薬品に指定されそうなところで、承認申請も間もなくではないでしょうか。
そんなオラパリブの拡大治験が開始したようです。
ちなみにオラパリブについて一番詳しく書いた記事はこれだと思います。
PARP阻害薬オラパリブ 遺伝性乳がん卵巣がんへの効果が期待~アストラゼネカ記者会見より③~(オンコロニュース2016/11/8)
肝細胞がんでネクサバールに次ぐ待望の分子標的薬レゴラフェニブ(スチバーガ)
スチバーガは腫瘍血管新生(VEGFR1、-2、-3、TIE2)、発癌(KIT、RET、RAF-1、BRAF)、転移(VEGFR3、PDGFR、FGFR)と腫瘍免疫(CSF1R)に関与するさまざまなプロテインキナーゼを強力に阻害する経口マルチキナーゼ阻害剤であり、日本では、転移性大腸がん(CRC)、転移性消化管間質腫瘍(GIST)にて承認されています。
肝細胞がんは、様々な血管新生阻害系のマルチキナーゼ阻害薬が挑戦しては失敗している領域でして、今はソラフェニブしか使用する薬剤がないのです。
ようするにソラフェニブを使用できなくなったら使用する薬剤がない領域なのです。
そんな中、スチバーガの結果が出たのは2016年6月末。そして、2016年11月7日、日米欧にて「切除不能な肝細胞がんに対する二次治療」に対して承認申請を行っております。
そんなスチバーガの拡大治験が開始したようです。
ちなみにスチバーガについて詳しく書いた記事はこれだと思っています。
肝細胞がん レゴラフェニブ(スチバーガ)承認申請~ネクサバール以来、待望のセカンドライン~(オンコロニュース2016/11/9)
では拡大治験にはどうやって参加するの?
では、拡大治験に参加するには??
拡大治験情報は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に掲載されています。なので、興味がある方は以下のリンクをクリックしてみてください。
https://www.pmda.go.jp/review-services/trials/0019.html#2
中ほどの以下の位置に情報が掲載されています。PDFのところです。(このページではクリックできません)
ちなみに、現在は以下の拡大治験が実施している可能性があります。
PF-02341066:クリゾチニブ(ザーコリ)⇒ROS1陽性の非小細胞肺癌
MPDL3280A:アテゾリズマブ(テセントリク)⇒尿路上皮膀胱癌
ONO-4538:ニボルマブ(オプジーボ)⇒プラチナ製剤抵抗性の再発又は転移性頭頸部扁平上皮がん患者
RO4876646:ベバシズマブ(アバスチン)⇒悪性胸膜中皮腫
AZD2281:オラパリブ(米国商品名リンパルザ)⇒BRCA遺伝子変異を有する進行又は再発卵巣癌
BAY73-4506:レゴラフェニブ(スチバーガ)⇒肝細胞癌
問い合わせは以下の「治験届出者の連絡一覧」をクリックして、該当の製薬企業の連絡先にお問い合わせしてみれはいかがでしょうか?
*ただし、制度上、患者さんからだと回答できない可能性があります。その場合は主治医等へ相談してみてください。
今回、より早く皆さんにお届けできたと思います。
この情報が、必要な人に届くことを願います。
(ただし、拡大治験の治験薬は無償ではない可能性があるため、注意してください)
記事;可知 健太
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