2024年6月29日土曜日

半導体のパッケージ技術とはんだ付け技術の開発成果がECTCに集結 福田昭のデバイス通信(463) ECTC現地レポート(1) 2024年5月に開催された「ECTC 2024」のレポートを複数回にわたりお届けする。 2024年6月28日

 

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半導体のパッケージとはんだ付けに関する世界最大の国際学会

 半導体のパッケージ技術とはんだ付け技術の研究開発成果を披露する国際学会「The 2024 IEEE 74th Electronic Components and Technology Conference」(略称は「ECTC 2024」)が2024年5月28日~31日(現地時間)に米国コロラド州デンバーのガイロードロッキーズリゾートアンドコンベンションセンター(Gaylord Rockies Resort & Convention Center)で開催された。「ECTC(イーシーティーシー)」は、実装技術(半導体のパッケージ技術や半導体を基板にはんだ付けする技術などの総称)分野では最も良く知られた国際学会であり、同分野では世界最大の開催規模を誇る国際学会でもある。

「ECTC 2024」の会場となったガイロードロッキーズリゾートアンドコンベンションセンター
「ECTC 2024」の会場となったガイロードロッキーズリゾートアンドコンベンションセンター(Gaylord Rockies Resort & Convention Center)の外観。ECTCの開催中に現地で筆者が撮影したもの
「ECTC(イーシーティーシー)」とは何か
「ECTC(イーシーティーシー)」とは何か。筆者がECTCの公式ウェブサイトなどからまとめたもの
「ECTC 2024」 の開催概要(開催直前時点の情報)
「ECTC 2024」 の開催概要(開催直前時点の情報)。筆者がECTCの公式ウェブサイトなどからまとめたもの

 特に最近の10年は研究活動の活発化を反映し、規模が拡大しつつある。ここ5年の開催規模は発表件数が370件強、参加登録者数は1500人前後に上る。

 ECTCの会期は4日間(火曜日から金曜日)。始めの1日間は「プレイベント」で、技術講座(別料金)やワークショップ、パネル討論会などを実施する。続く2日目~4日目が「メインイベント(技術講演会およびポスター発表)」と「サブイベント」となる。

 筆者はこれまで、2006年と2013年にECTCを現地取材したことがある。2010年代に「先進パッケージング(Advanced Packaging)」技術が登場し、進化し、普及したことで、ECTCの内容は大きく変化しているに違いない。2010年代末にはECTCの再取材を真剣に考えるようになった。現地参加への切迫感が募るなか、コロナ禍や出版不況などによって当初の予定からはるかに遅れたことし(2024年)、11年ぶりの現地取材を実現できた。現地参加を可能にしたのは、関係各所のご助力、特にクラウンドファンディングによるものだ。ご支援いただいた皆さまにあらためて深く感謝したい。

ECTCの開催地(2011年~2024年)
ECTCの開催地(2011年~2024年)。筆者の調べによるもの。2011年~2019年は米国のレイクブエナビスタ(フロリダ州)とサンディエゴ(カリフォルニア州)、ラスベガス(ネバダ州)の3カ所を巡回していた。コロナ禍によって2020年と2021年はバーチャルイベントとなる。2022年にリアルイベントが復活した。リアル開催の復活以降、オンライン参加登録(いわゆる「ハイブリッド開催」)は実施していないもよう

技術講演会の前日には有料イベントと無料イベントを用意

 ことしのECTCすなわち「ECTC 2024」は、5月28日(火曜)の初日がプレイベント、5月29日(水曜)~31日(金曜)がメインイベント(技術講演会)となった。エレクトロニクス分野の国際学会では、プレイベント(前日イベント)を併催するスケジュールはごく普通だと言えよう。そしてプレイベントで多くみられるのが、技術講座である。「チュートリアル」「ショートコース」「プロフェッショナル開発コース」などと呼ぶことが多い。

 前日イベントの技術講座は通常、技術講演会とは別に参加料金が必要となる。国際学会は非利益イベントとは言うものの1つの興行であり、収支が赤字続きだと継続が難しくなっていく。技術講座が技術講演会とは別枠で参加料金を徴収するのは、売上増によって収支健全化を支援するという意味合いが大きい。

 ECTCでもプレイベント日(28日)には、「プロフェッショナル開発コース(PDC)」と呼ぶ技術講座を実施していた。PDCでは午前と午後に8件ずつの講演が並行して実施された。1日の参加料金(午前と午後に1件ずつ参加できる)は675米ドル(クレジットカード払いのみ)と決して安くはない。なお日本円では10万8730円(クレジットカードによる当日払いの請求額、筆者の場合)とかなりの高額に達した。

「プロフェッショナル開発コース(PDC)」の会場入り口付近
「プロフェッショナル開発コース(PDC)」の会場入り口付近。午前の講座名と午後の講座名が併記されている。現地時間5月28日に筆者が撮影したもの
「プロフェッショナル開発コース(PDC)」の講演題目一覧(午前の部)
「プロフェッショナル開発コース(PDC)」の講演題目一覧(午前の部)。筆者がECTCの公式ウェブサイトなどからまとめたもの
「プロフェッショナル開発コース(PDC)」の講演題目一覧(午後の部)
「プロフェッショナル開発コース(PDC)」の講演題目一覧(午後の部)。筆者がECTCの公式ウェブサイトなどからまとめたもの

 ECTCのユニークな点は、無料で参加できる前日イベントをいくつか用意していることだ。「スペシャルセッション」と呼ぶ、トピックス(注目のテーマ)に関するワークショップやセミナー、パネル討論会などのサブイベントをECTCは用意しており、その大半は技術講演会の前日(28日)に実施された。

(次回に続く)

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