2022年7月27日水曜日

ハイパーサーミアがん温熱治療法について

http://yamamoto-touseki.info/hyperthermia.html

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山本内科
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まずはじめに

ヒトの細胞は熱に弱く、42.5℃以上になると急速に死んでいきます。そのため、昔使用されていた水銀体温計には41℃までしか目盛がありませんでした。

体温が42℃を超えるような生命の危機に瀕した状態においては正確な体温を測定することにあまり意味がないためです。


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この部分に着目し、“がん”細胞の温度だけを選択的に上昇させて、“がん”を死滅させてしまおうと考案された治療法がハイパーサーミアがん温熱療法です。

その歴史は古く、古代ギリシャ時代にはすでに熱により”がん”が消滅したという報告がされています。科学技術が進歩すると、有効な加温の方法が開発されるとともに、“がん”に対する温熱の効果が基礎研究によって明らかにされ始めました。


ハイパーサーミアがん温熱療法の生物学的効果

42,5℃以上になると、がん細胞は死滅するということはわかりましたが、では、“がん”細胞の周囲にある正常な細胞も温められて死んでしまうのでは?

そんな不安もあるかと思います。

実は、正常な組織は、がん組織と同じように温められても、血管が拡張し、血液がいっぱい流れることによって、血液が車のラジエーターのように熱を運び去ってくれるのです。

一方の“がん”組織の中にある血管は、発育が悪く、しかも温められても拡張することができない為、ラジエーターの壊れた車のようにオーバーヒートしてしまい、“がん”細胞だけが温められ死滅していくのです。


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しかし、“がん”細胞もただただ死んでいくわけではありません。温められてタンパク質が変性すると,熱ショックタンパク 70と呼ばれるタンパク質を産生します。

それにより、熱による攻撃に立ち向かう態勢ができ、傷ついた細胞を修復するのです。

タンパク70は熱の攻撃だけでなく、様々なストレスによって細胞に発現してきます。

一回、温熱療法を行なうとタンパク70が発現し、“がん”細胞を熱の攻撃から守ってしまう為、すぐに治療を繰り返しても、同じような効果は望めません。このことを『温熱耐性』と呼びます。より大きな効果を得るには、タンパク70が消失するのに48時間を要しますので、これが減少してくるのを待ち、2回目の温熱療法を行う必要があります。

こうしたことから、週1-2回のペースで行うことが多いのです。


ハイパーサーミアがん温熱療法の応用

“がん”細胞を42.5℃以上に温めないと温熱療法は効果がないのでしょうか。答えは、『いいえ』です。

42.5℃以上にならなくても温熱は様々な効果を“がん”細胞にもたらすことが知られています。 放射線や抗癌剤の効果を高めたり、最近では免疫細胞を活性化して免疫力を高めることも報告されています。


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放射線治療と併用する場合、41℃程度の低い加温(マイルドハイパーサーミア)でも十分効果を高めることが知られています。放射線治療だけでは十分な効果が得られにくい大きくて血管の乏しい“がん”ほど、温熱が効き易いことから、ハイパーサーミアと放射線治療はよく併用されて用いられます。

また、ハイパーサーミアは抗がん剤と併用することで、抗がん剤の効果を増強させることができます。さらに、体を温めることによって免疫力を活性化させ“がん”細胞を自分自身の力だけで排除する働きを高めることも出来ます。

最近では、熱単独の効果または放射線や抗がん剤の効果を高める効果だけを期待するのではなく免疫力を高める効果も期待してハイパーサーミアを併用して行なうようになってきました。

また、今後の研究次第では、“がん”の増殖を抑える“がん”の休眠療法の一つとしても温熱療法は期待されています。

手術・化学療法・放射線療法ができない状況になってもハイパーサーミアは唯一の治療法として使用できます。


山陰放送ラジオインタビュー対談(生放送)

【ハイパーサーミアについて】 平成30年8月6日 PM2:30

MC

 さて、日本人の2人に1人はかかると言われる病、「癌」。私たちもいつかはかかってしまうかもしれないと心配になる病気なんですけど、どんな治療法があるのか気になりますよね。

 そこで今回は、「ハイパーサーミア」という癌の治療法について、倉吉市の山本内科医院院長の山本栄先生にご紹介いただこうと思います。山本先生、よろしくお願いいたします。

院長

 よろしくお願いいたします。

MC

 さて山本先生、私、正直申し上げて「ハイパーサーミア」というのはあまり聞いたことがない耳なじみがないと言いますか、どのような治療法なのか想像も出来ないんですが、いったいどうやって癌を治療する方法なのですか?

院長

 一般的に癌の治療法として。多くの病院では「癌の治療ガイドライン」に基づいて手術、抗がん剤、放射線治療が勧められていますが、その他にも癌の治療法と言うのはあるわけです。ハイパーサーミアは癌に熱を加えて温めて治そうという方法なのです。

MC

 え!温めて治るのですか?

院長

 人の細胞は42.5度以上になると急激に死滅することが分かっています。ハイパーサーミアはここに注目して、体の外から体内の癌部に照準を合わせて高周波の電磁波を当てることで癌部に熱を加えて温度を上げ、癌細胞を破壊することを目的としているのです。

MC

 標準を合わせるのですか、そこがポイントなのですね。でもそんなことをして癌でない細胞は大丈夫なのですか?

院長

 はい、癌細胞組織の中にある血管は発育が悪く、高温になっても血液の流れが悪いため温度を下げることができないのです。一方、正常な細胞組織では高温になると血管が拡張して冷やされるので、癌細胞のように高温にはならず、むしろ風邪をひいたときに発熱してウイルスと闘うのと同じ様に免疫細胞が活性化して免疫力が高まっている状態になるのです。

MC

 癌細胞は攻撃して正常な細胞はアシストするんですね!

 ところでハイパーサーミアはどのようにして行われるんですか?

院長

 ハイパーサーミアは寝ころんだ状態で癌部に高周波を照射します。皮膚表面だけを温めるわけでなく、癌部に合わせて照射する深さを設定するのです。体を傷つけることもなく、放射線のように被爆もありません。「温める」という治療法ですので、全くというわけではありませんが副作用も少ないと言えます。抗がん剤や放射線治療、免疫療法等他の治療法と同時に併用することでよりよい効果が期待できるのです。

MC

 患者さんは寝ているだけなんですか?

 案外簡単にうけられるのですね。でも時間がかかるんですか?

院長

 そうですね、1回あたりだいたい30〜40分程度を、週に1回〜2回行います。期間や回数はその人の状態によります。また健康保険が適用されますので、安心してご相談いただければと思います。

MC

 国の健康保険も使えるんですか?それは安心ですね。他に気を付けないといけないことはありますか?

院長

 ペースメーカーをお使いの方、また脳や目、血液など適用できない場合もあります。反対に手術などで癌部の近くにステントなどの金属が入っている方でもハイパーサーミアが可能な方もいらっしゃいますので、そのあたりは医師と相談のうえ治療のあたっていただければよいと思います。

MC

 さすがに例外があるということですね。でもすでに相当の期間癌とつきあっている場合はもう遅いのですか?

院長

 いえいえ、ハイパーサーミアは初期癌から末期癌まで適用可能ですよ。例えば癌の手術が出来ない人、抗がん剤の副作用が強くて続けられない人、再発や転移癌の人、治療法がなくて緩和ケアに入っている人などは、新たな選択肢として試みてよい治療法だと思いますよ。

MC

 ありがとうざいます。最後にお聞きしますが、直接先生にご相談しようと思ったらどちらにお電話すればいいんですか?

院長

 0858-22-5455、山本内科医院までお電話ください。ご相談に応じます。

MC

 0858-22-5455、山本内科医院ですね。

有り難うございます。

 今日は倉吉市の山本内科医院院長、山本栄先生にお話をお聞きしました。


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