https://forest-journal.jp/tools/41491/
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関連情報:
QGISとArcGISの比較|①ポイント→ラスタ 変換
https://www.google.com/search?q=ArcGIS%E3%80%81QGIS&sourceid=chrome&ie=UTF-8
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昨今、林業従事者の人材不足が深刻化していく中、スマート林業の進化も目覚しく、GISもその1つ。労働力の軽減や生産性向上のためには、今や欠かせない存在だ。本特集はそんなGISの基礎知識や魅力を知る「入門編」。
スマート林業を担うツール!
GISとは一体何なのか?
「就職活動中に、地理空間情報を活用した阪神淡路大震災についての研究や技術開発を目の当たりにし、すごいなと思ったことが、GISを仕事にしたきっかけなんですよ」。そうGISの魅力を語るのは、朝日航洋株式会社の和田氏。
そもそもGISとは何なのか? 聞いたことはあるものの、メリットが分からず、利用までに至っていない人も多いのではないだろうか。
国土地理院によると、“地理情報システム(GIS:Geographic Information System)は、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術である。”と明記されている。つまりは、管理する上で必要な情報が、マップや航空写真上で把握できる上に加工や編集もできてしまう優れものだ。
GISの起源は1968年、約60年以上も前から利用されてきているが、日本で本格的に普及し始めたのは1995年頃。同年1月に発生した阪神淡路大震災での被災状況などがGISで分析されたが、もし普及が進んでいたなら救助活動などにもっと貢献できていたのでは、と反省点も生まれたという。
GISの目的って?
防災面にも役立つ!
GISのすごさは解析・分析能力にあった!
「状況把握だけなら、Googleマップで事足りるのでは?」そう思われた方も多いことだろう。しかしGISのすごさは、得た情報を地図上で表現できる『解析能力』にある。さらには、地形や環境などを勘案して、被災の予測を立てられる『分析能力』にも優れている。
例えば建物の建設年月日や防火設備の有無など、あらかじめ情報を入れておく。そうしておけば被災した際に『古い建物だから倒壊した』あるいは『防火設備が無かった』、『空中写真で見たら隣接の建物と近かった』などの倒壊した理由の憶測が立つ。加えて、何時間後に「これだけの範囲が燃え広がるかもしれない」などの予測が立てられる。これは、Googleマップでは成し得ない技術だ。
何がどう便利になる?
業務の効率を最大化。
“経験”から“論理的”な林業へ
一番の便利ポイントは業務の効率化だ。従来では、事務所から車で移動し、何時間もかけて山まで行かなくては分からなかった情報がGIS上に集約=PC上でチェックできる。森林管理においては、樹種や林班・小班の情報は必須として、斜度なども地図上に表示できるのだ。
例えば、「ここは南斜面で日当たりがいいからスギは不適だよね、急斜面の場所は天然林化を推し進めよう」などその場ですぐ確認ができる。他にも路網の作設にあたって「この場所を開設すると崩壊の危険性があるよね。災害を助長させちゃうね」などの分析にも役立つ。現場まで行かずパソコン上で『容易』に、しかも『迅速』に確認ができ、かつ『確実』な情報が分かる。GISは林業に必要な3要素「容易」「迅速」「確実」を全て補うことができ、経験則に頼らずに適木適地をパソコン上で判断する、いわゆる論理的な林業が展開できる。まさに業務の効率化を体現したものがGISといえる。
どれを選ぼう
GISにも種類がある?
QGISとArcGISの違い
GISを使おうとすると大きく分けて2種あることに気づく。QGISとArcGISだ。両者の大きな違いは、自社ソフトウェアか、フリーソフトウェアかだろう。
QGIS
無料でインストールできるため、参入障壁が低いことが魅力。様々なさまざまなプログラムの集合体で、プラグインツールの追加も容易なため、ある程度各事業体にあった独自のカスタマイズができる。一方で、最新バージョンではバグが残ってしまう不具合や不安定さが発生することがある。
ArcGIS
Esri社が提供しているソフトウェアのことで、多様な環境やデバイスで利用できる。ノーコード開発もサポートし、専門的なプログラミング知識がなくても、大規模なアプリケーションも構築可能で、現地調査や地理情報の可視化・分析が手軽に行える。有償利用だが製品サポートが利点。
⇒山林所有者や官公庁向けのサービス、大規模な解析・データ作成や業務アプリを作成・共有する場合は『ArcGIS』、山林所有者への説明資料や日々の業務でのデータを管理する場合は『QGIS』がおすすめだ。
必要なもの、ある?
GISを使う上で
何を準備すべきか?
普段の業務で使っているパソコンでも、GISは問題なく動くのだろうか?結論からいうと、少しハイスペックなパソコンが望ましい。なぜなら、航空写真やたくさんのデータを読み込むためには、スペックが高くないと処理速度が格段に落ちてしまうからだ。準備すべき機器類の推奨スペックを次にまとめてみた。
<ハードウェア>
●CPU:10コア以上
●メモリ:64GB以上
●専用のグラフィックス メモリ:4GB以上
<液晶モニター>
●大きさ:27インチ以上
●画面の解像度:1080px以上
液晶モニターは、27インチ以上欲しいところ。なぜなら、面積の小さい小班が密集している場合、1つの画面に表示されるためには、27インチ以上ないと見づらいため。和田氏いわく「基本的なスペックは、ArcGIS Proに書かれているスペックを参考にすると良いですよ。特にゲーミングPCは、処理速度が早いので、空中写真に重ねた林班、小班もサクサク表示されてオススメです!」とのこと。ゲーミングPCを導入している森林組合や事業体は増えてきているのだとか。
※【はじめてのGIS】2は後日公開!
教えてくれた人
朝日航洋株式会社
空間情報事業本部 自治体アセット事業部
自治体DX推進室
和田陽一さん
今回インタビューに応じてくれた和田さんが所属する朝日航洋株式会社では、森林資源解析やデータ作成業務の他、QGISを実際に操作して学べる『ハンズオン講座』の開催などデータを利活用する人の人材育成支援などを行なっている。『もりQ』は朝日航洋の森林分野におけるQGIS利活用のブランド名。
『ハンズオン講座』
この講座では、実際にQGISの操作が学べる。導入方法から基礎的な知識を学べる『初心者コース』や『中級者コース』では、解析や地図作りなど実践的に学べる。
『QGISワークショップ』
ソフトウェアの操作を学ぶだけではなく、グループワーク形式でデータの可視化、課題の発見・共有、解決策の提案などの課題解決のプロセスを体験できる。
取材・文/出合 美羽
FOREST JOURNAL vol.18(2023年冬号)より転載
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