2025年3月27日木曜日

JPモルガン、「真の乱数」生成と認証に成功-ネイチャーに論文掲載 Isabella Ward 2025年3月27日 6:18 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-26/STQZODT0AFB400

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-26/STQZODT0AFB400

大手米銀のJPモルガン・チェースは量子コンピューターを用いて「真の乱数」を生成し、認証することに成功したと発表した。セキュリティーやトレーディングの応用につながり得る世界初の快挙だという。

  科学誌「ネイチャー」に26日掲載された論文によれば、乱数列はハネウエル傘下のクオンティニュアムが開発した量子コンピューターを用いて生成された。JPモルガンの研究員はアルゴンヌ国立研究所やオークリッジ公立研究所、テキサス大学オースティン校と共に、「真性のランダム性」を初めて数学的に証明したという。

  扱いに注意が必要なデータを暗号化する上で重視され、広く使われている乱数ジェネレーターの大半は、実際には事前に決められたシークエンスであり、本当の意味での乱数ではない。コンピューターはプログラムされた一連の数学的オペレーションで動作するため、常に同じ回答を出し、高性能のコンピューティング能力を持つハッカーに暗号を破られるリスクが高まっている。

  乱数ジェネレーターは他社も開発済みだ。クオンティニュアムはデータセンターやスマートメーター向けに商品化し販売している。しかし乱数が真の意味でランダムであることの認証によって、ユーザーは真性ランダム性の証拠を得ることができ、重要インフラや金融サービスのようなハイステーク業界での応用が初めて可能になる。

  コンサルティング会社プロティビティの量子コンピューティングサービス担当ディレクター、コンスタンティノス・カラジャンニス氏は「監査の履歴が重要なあらゆる分野で役に立つ」と指摘。例えば宝くじでは、数字の完全なランダム性を証明することが極めて重要だという。「暗号技術においては証明可能であることがすべてだ。安全性の証明が可能か、不可能かの2つしかない。グレーエリアは存在しない」と述べた。同氏は今回の実験に参加していない。

  JPモルガンの暗号技術者らは2023年5月から24年5月にかけ、乱数生成を目指して量子コンピューターのアルゴリズムを作成。それをクオンティニュアムのマシンで実行した。アウトプットが本当にランダムなのかどうかは、米エネルギー省のスーパーコンピューターで検証した。

原題:JPMorgan Says Quantum Experiment Generated Truly Random Numbers(抜粋)

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