「ほくろのがん」とも言われる悪性黒色腫(メラノーマ)は厄介ながんの代表。
最近、「BRAF阻害薬」「MEK阻害薬」という分子標的薬に加えて、「免疫療法」を組み合わせる3種類の薬が登場、世界的に徐々に利用可能になってきている。
治療効果についても証明されており、副作用も軽くなっていると分かった。
日本でも発売に向けた動きがあり、注目される。
最近、「BRAF阻害薬」「MEK阻害薬」という分子標的薬に加えて、「免疫療法」を組み合わせる3種類の薬が登場、世界的に徐々に利用可能になってきている。
治療効果についても証明されており、副作用も軽くなっていると分かった。
日本でも発売に向けた動きがあり、注目される。
早期発見は前提
米国ボストン大学医学部やボストンメディカルセンターの皮膚科専門医は悪性黒色腫の先進的な治療について解説、米国皮膚病学会が2015年3月20日に紹介している。
悪性黒色腫が皮膚がんの中でも治りにくいと知られている。研究グループによれば、米国では皮膚がんによる死亡の約75%を占める。2015年は1万人近くが悪性黒色腫で死亡すると予測する。悪性黒色腫は早期発見すれば治療できる可能性が高いが、リンパ腫や他の臓器まで広がると生存率は下がる。
冒頭の通り、この5年間で、進行性の悪性黒色腫に対する治療法として、分子標的薬や免疫療法が登場している。
分子標的薬の一つは、「BRAF阻害薬」。
悪性黒色腫の人の半数が持つBRAF遺伝子の突然変異を持つ人を標的としてがんを攻撃できる。がん遺伝子のスイッチをオフにすることで、がん細胞の増殖を止めて、がん細胞を生き残れなくする。
さらに、分子標的薬には、「MEK阻害剤」という薬も出ている。BRAF阻害薬の効かなくなったがんに使ってやはりがんを死滅させる。なお、この薬は日本の京都府立医科大学の酒井敏行氏とJTの医薬総合研究所の共同研究から生み出された薬だ。
この2つの薬を一緒に使うと、進行した悪性黒色腫をより効果的に治療できるとも分かってきた。単独で使うよりも副作用も軽くなるのが重要だ。
悪性黒色腫が皮膚がんの中でも治りにくいと知られている。研究グループによれば、米国では皮膚がんによる死亡の約75%を占める。2015年は1万人近くが悪性黒色腫で死亡すると予測する。悪性黒色腫は早期発見すれば治療できる可能性が高いが、リンパ腫や他の臓器まで広がると生存率は下がる。
冒頭の通り、この5年間で、進行性の悪性黒色腫に対する治療法として、分子標的薬や免疫療法が登場している。
分子標的薬の一つは、「BRAF阻害薬」。
悪性黒色腫の人の半数が持つBRAF遺伝子の突然変異を持つ人を標的としてがんを攻撃できる。がん遺伝子のスイッチをオフにすることで、がん細胞の増殖を止めて、がん細胞を生き残れなくする。
さらに、分子標的薬には、「MEK阻害剤」という薬も出ている。BRAF阻害薬の効かなくなったがんに使ってやはりがんを死滅させる。なお、この薬は日本の京都府立医科大学の酒井敏行氏とJTの医薬総合研究所の共同研究から生み出された薬だ。
この2つの薬を一緒に使うと、進行した悪性黒色腫をより効果的に治療できるとも分かってきた。単独で使うよりも副作用も軽くなるのが重要だ。
有望な「免疫チェックポイント阻害薬」
一方で、免疫療法も重要になってきている。
体にもともと備わっていて、異物に抵抗するために働いている「免疫」の仕組みを利用してがんを攻撃する治療法だ。
人間は免疫の仕組みによって、感染症やがんをはじめ病気の原因を攻撃している。
免疫療法で注目されているのは、この免疫の力をそぐ仕組みだ。
例えば、がん細胞は免疫にブレーキをかける仕組みとして「PD-L1」というタンパク質を持っている。一方で、人間の方では「PD-1」というタンパク質で反応して免疫を働かなくしている。
この対応関係は「免疫チェックポイント」と呼ばれている。
この仕組みは、もともとは免疫の暴走を防ぐ働きを果たすので好ましいはずが、攻撃すべきがんへの攻撃力を弱めてしまっている。
免疫チェックポイントを邪魔して、がんへの攻撃力を高めようとする薬が登場している。「免疫チェックポイント阻害薬(そがいやく)」と呼ばれる薬だ。
今回の解説によると、免疫療法が有効な人は、進行した悪性黒色腫の一部の人と言う。最近の報告では、遺伝子の条件でも治療の「効く」「効かない」が変わると判明している(免疫チェックポイント阻害薬も遺伝子は重要、メラノーマへの効果を左右「NRAS遺伝子」)。
体にもともと備わっていて、異物に抵抗するために働いている「免疫」の仕組みを利用してがんを攻撃する治療法だ。
人間は免疫の仕組みによって、感染症やがんをはじめ病気の原因を攻撃している。
免疫療法で注目されているのは、この免疫の力をそぐ仕組みだ。
例えば、がん細胞は免疫にブレーキをかける仕組みとして「PD-L1」というタンパク質を持っている。一方で、人間の方では「PD-1」というタンパク質で反応して免疫を働かなくしている。
この対応関係は「免疫チェックポイント」と呼ばれている。
この仕組みは、もともとは免疫の暴走を防ぐ働きを果たすので好ましいはずが、攻撃すべきがんへの攻撃力を弱めてしまっている。
免疫チェックポイントを邪魔して、がんへの攻撃力を高めようとする薬が登場している。「免疫チェックポイント阻害薬(そがいやく)」と呼ばれる薬だ。
今回の解説によると、免疫療法が有効な人は、進行した悪性黒色腫の一部の人と言う。最近の報告では、遺伝子の条件でも治療の「効く」「効かない」が変わると判明している(免疫チェックポイント阻害薬も遺伝子は重要、メラノーマへの効果を左右「NRAS遺伝子」)。
3つの薬の組み合わせも検証中
分子標的薬と同様に、より効果的な治療のために免疫療法の併用も行われている。
米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校を中心とする研究グループは3種類の薬を組み合わせる治療の効果について、有力医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン誌で2015年3月18日に報告した。
メラノーマと診断された人うち、BRAF阻害薬が効くBRAFと呼ばれる遺伝子に突然変異を持つのは半数程度という。
研究グループは、BRAF阻害薬のダブラフェニブ(一般名)とMEK阻害薬のトラメチニブ(一般名)を用いた標的療法に加えて、免疫療法を一緒に実施して、効果を確かめている。なお、日本ではノバルティスが2015年4月27日に、ダブラフェニブとトラメチニブの承認申請を発表している。
米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校を中心とする研究グループは3種類の薬を組み合わせる治療の効果について、有力医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン誌で2015年3月18日に報告した。
メラノーマと診断された人うち、BRAF阻害薬が効くBRAFと呼ばれる遺伝子に突然変異を持つのは半数程度という。
研究グループは、BRAF阻害薬のダブラフェニブ(一般名)とMEK阻害薬のトラメチニブ(一般名)を用いた標的療法に加えて、免疫療法を一緒に実施して、効果を確かめている。なお、日本ではノバルティスが2015年4月27日に、ダブラフェニブとトラメチニブの承認申請を発表している。
3種類でより効果的に
デブラフェニブはBRAF遺伝子変異がある人に効く一方で、突然変異のない悪性黒色腫に悪く働いてむしろ別のタイプの皮膚がんを生むことが問題になっていた。
トラメチニブはこの問題を解決する。
別のがんを生むもとになる「MAPK/ERK」と呼ばれる仕組みの過剰反応を防ぐからだ。
その上で、研究グループは3種類の治療を使ったときにより効果的になると説明している。免疫を強化する上に、単独使用で現れる副作用も減らすという。
かつては多くの人が死に至ったがんに解決の道が開いている。
トラメチニブはこの問題を解決する。
別のがんを生むもとになる「MAPK/ERK」と呼ばれる仕組みの過剰反応を防ぐからだ。
その上で、研究グループは3種類の治療を使ったときにより効果的になると説明している。免疫を強化する上に、単独使用で現れる副作用も減らすという。
かつては多くの人が死に至ったがんに解決の道が開いている。
文献情報
Advanced melanoma treatments have promise for patients
Koya RC et al.Improved antitumor activity of immunotherapy with BRAF and MEK inhibitors in BRAF(V600E) melanoma.Sci Transl Med. 2015;7:279ra41.
http://newsroom.ucla.edu/releases/ucla-researchers-develop-new-combination-therapy-to-fight-melanoma
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