2014年5月24日 0時17分 KAI-YOU.net
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[画像] 感情を組み込むマークアップ言語「EmotionML」正式採用 『ハーモニー』の世界が現実に?
W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)は、5月22日付で人間の感情に関する情報を扱うためのマークアップ言語仕様「Emotion Markup Language(EmotionML/エモーション・マークアップ・ランゲージ) 」の勧告を発表しました。
EmotionMLでなにができるの?
EmotionMLは、コンピュータ内部やWeb上でも人間的な感情を扱うべき場面が増えてきたことに対して、人間の感情についての情報もデータとして一緒に組み込むことや、感情のデータを元にしてプログラムを動かすということを目的にしています。
利用例としては、テキストデータや電子書籍の本文に感情の情報を組み込むことで、自動音声でも感情のこもった声色や抑揚で自然な発話ができるようになったり、動画のシーンごとに感情のデータを設定することで、対応する機器やソフトを通じてより感情移入できる体験をつくりだす手助けとなることが考えられています。
「不思議の国のアリス」を題材にした利用例。セリフのテキストに感情の種類("Disgust"、"Anger")と、その強さを表す数値(value="0.XX")のEmotionMLのタグをつけて機械的に感情を表現できるようになっている
説明文の中には、ロボットのバッテリーが減った時に自分で仕事を中断したり、仕事に「疲れた」と感じてサボるような動作をさせるような活用例の紹介も
W3C? 勧告って?
今回の発表を行った「W3C」とは、Webで使われる様々な仕様を決めるための活動を行う団体。
Webサイトをつくるために使われるHTMLやCSSといった規格もこのW3Cで仕様が決められています。
W3Cでは、実際に使われる規格を決まるまでに、最初の発案となる草案の作成を含む5段階の工程を重ね、その内容について議論していきます。
今回の「勧告」は、その最終段階に位置付けられるもので、EmotionMLが議論対象の段階から晴れて広く一般的に利用されるべき段階になったことを示します。
伊藤計劃『ハーモニー』の世界が現実になる?
EmotionMLの内容を聞いて、伊藤計劃さんのSF小説『ハーモニー』を連想した人もいるのではないでしょうか。
『ハーモニー』では作中の登場人物の感情や考えていることを表現するための方法として、小説の本文全体が「Emotion-in-Text Markup Language(etml)」という架空のマークアップ言語を使った文章ファイルという扱いで書かれています。
読者は、地の文では語られない人物の感情をタグの情報から感じると共に、本作がetmlで書かれていること自体も物語の内容に関わる仕掛けが用意されていました。
今回のEmotionMLは、あくまでも拡張機能としての役割を担うため、小説の作中のように現在のHTMLに今すぐとって代わる、というものではありません。
ちなみにEmotionMLの構想自体は『ハーモニー』刊行の前から始まっています。
まるでSFの古典作品に登場するような、カタコトの発音しか出来ないロボットばかり登場する世界を、現実はすでに飛び越そうとしているのかもしれません。
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