2015/9/7 19:57
臨床試験支援大手のアイロムグループは7日、再生医療や新薬の開発に使うiPS細胞の培養に必要なウイルス素材「ベクター」の量産工場を茨城県つくば市に建設すると正式発表した。千代田化工建設が同工場の建設を担い、2016年末の稼働を見込む。今後は隣接地にもiPS細胞の製造・培養施設を建設する計画だ。
アイロムは遺伝子を運んでiPS細胞の培養などを容易にする技術で世界に先行しており、京都大学iPS細胞研究所(京都市、山中伸弥所長)とも共同研究をしている。今回は医薬品の製造プラントの建設で豊富なノウハウを持つ千代田化工に対し世界初となるベクターの量産工場を発注した。
今後はiPS細胞の量産化や、目や神経など様々な細胞に分化させるのに必要な加工設備も建設する計画だ。iPS細胞の培養や加工ができる製造施設は東京や神戸で建設することも検討している。千代田化工は再生医療などライフサイエンス事業を強化しており、今後は国内の製薬企業から再生医療向け施設の受注を強化する。
政府はiPS細胞の再生医療を支援するため、昨年秋に「医薬品医療機器法」を施行した。従来は患者に移植するiPS細胞は手術する医療機関で培養することが定められていたが、新法で外部への委託が認められた。再生医療の世界市場は30年に12兆円まで伸びるとみられている。
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