2016年7月12日火曜日

iPS細胞等を用いた立体組織・臓器の開発に着手 ―骨や血管、心臓などをバイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術で製造へ―

勉強の為に引用しました。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100328.html

2014年11月7日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫
NEDOは、バイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などの立体造形技術を用いて、iPS細胞などから骨や血管、心臓などの立体組織・臓器を製造する技術開発に着手します。
 これまで、再生医療の技術開発では、iPS細胞等の培養や分化誘導など再生医療に用いる細胞をいかに効率良く調製するかについての技術開発が精力的に行われてきました。本プロジェクトでは、これらの細胞を用いて、バイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などによる立体組織・臓器を製造する新たな技術開発段階へステップアップさせ、再生医療製品の実用化に向けての重要な一歩を踏み出します。
  • 事業イメージ図

1.概要

医療機器の世界市場は約8%の成長率を維持しており、今後も拡大すると予測される中、我が国の医療機器産業は輸入超過(平成24年度は貿易収支で約0.7兆円のマイナス)が続いています。
 NEDOは、バイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などの立体造形技術を用いて、iPS細胞などから骨や血管、心臓などの立体組織・臓器を製造する技術開発に着手します。我が国が強みを有する細胞を立体造形する技術を活用し、画期的な再生医療製品を世界に先駆けて実用化することにより、我が国の医療機器産業等の国際競争力強化に貢献します。事業期間は2014年から5年間、総事業費は約25億円を予定しており、今回、5テーマ29者を選定しました。プロジェクト期間中にはステージゲート審査を設け、高い実現性が見込まれるテーマに絞り込み、立体組織・臓器の作製技術の実用化を加速します。
 再生医療の技術開発では、これまで、iPS細胞等の培養や分化誘導など再生医療に用いる細胞をいかに効率良く調製するかについての技術開発が精力的に行われてきましたが、本プロジェクトにより、細胞を用いて機能的な立体組織・臓器を作製する新たな技術開発段階へステップアップさせ、再生医療製品の実用化に向けての重要な一歩を踏み出します。
 なお、本プロジェクトは、平成27年度以降、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構に移管される予定です。

2.採択テーマと委託予定先

<高機能足場素材とバイオ3Dプリンタを用いた再生組織・臓器の製造技術の開発>

再生組織イメージ図骨や軟骨等の治療では、複雑な生体構造を精密に再現し、かつ、速やかに生体になじむ再生医療製品が望まれています。本テーマでは、バイオ3Dプリンタを用いて細胞が住みつくための足場を構築し、そこに細胞を注入することにより、骨、軟骨・半月板、膝関節、皮膚を作製します。これにより、生体内における組織の再生が可能な新たな再生医療製品の実用化を目指します。

【委託予定先】 
国立大学法人東京大学、国立大学法人大阪大学、学校法人福田学園大阪保健医療大学、独立行政法人産業技術総合研究所、富士フイルム株式会社、シーメット株式会社、株式会社JMC、オリンパステルモバイオマテリアル株式会社

<バイオ3Dプリンタで造形した小口径Scaffold free細胞人工血管の臨床開発>

現在使用されている合成繊維や樹脂製の人工血管は、血栓ができやすいことや、折れ曲がりにより血流が止まりやすいなどの問題から、小口径の製品については実用化には至っていません。本テーマでは、バイオ3Dプリンタを用いた細胞塊の積層技術により、小口径の血管を開発します。作製される血管は細胞のみで構成され、血栓が出来にくいことや、しなやかさを併せ持ち閉塞に強いことを特長とし、人工透析を始めとする各種臨床ニーズへの応用が期待できます。

【委託予定先】 
国立大学法人佐賀大学、京都府公立大学法人京都府立医科大学、株式会社サイフューズ

<革新的な三次元精密細胞配置法による立体造形と小口径血管を有するバイオハートの研究開発>

立体的な心筋の作製において、心筋中心部へ栄養分や酸素を供給するための血管構築を含め、疾患部の形状に適した立体造形技術が課題となっています。本テーマでは、特定の複数タンパク質で細胞表面を覆う高分子技術とヒトiPS細胞由来の心筋細胞等を精密に配置する3Dプリント技術により、ミクロなレベルから構造及び形状が制御された機能的な立体心筋を開発し、新たな再生医療製品としての実用化を目指します。

【委託予定先】
国立大学法人大阪大学、東レ株式会社、株式会社リコー、公立大学法人横浜市立大学、国立大学法人弘前大学、国立大学法人名古屋大学、協和発酵バイオ株式会社

<組織工学を用いたヒト心臓壁立体造形技術の開発>

これまで、機能的な心筋の作製は、心筋内部の栄養不足により、細胞や組織の機能が低下するという問題があるため難しいとされていました。本テーマでは、ヒトiPS由来細胞シートにゼラチンハイドロゲル等の生体吸収性物質などをはさみ込み、酸素や栄養分を供給する仕組みを作ることで、細胞の生存と機能を維持した従来にはない厚みのある立体心筋を作製します。これにより、治療有効性を高める新たな再生医療製品としての実用化を目指します。

【委託先予定】
国立大学法人京都大学、旭硝子株式会社、iHeart Japan株式会社

<細胞シート工学を基盤とした革新的立体臓器製造技術の開発>

立体心筋と管状の心臓のイメージ図ヒトの心臓と同等の厚みのある立体的な心筋の作製では、その中心部で栄養分などが枯渇することにより細胞が死んでしまうという問題があります。本テーマでは、生体由来の血管網の上にiPS細胞由来の心筋シートを段階的に積層することで心筋中心部まで栄養分が供給される構造を作製します。これにより、細胞密度の高い立体心筋や管状の心臓を開発し、実際の心機能の代替となる新たな再生医療製品としての実用化を目指します。

【委託予定先】
学校法人東京女子医科大学、学校法人早稲田大学、学校法人慶應義塾 慶應義塾大学、国立大学法人大阪大学、株式会社東海ヒット、コージンバイオ株式会社、株式会社セルシード、パナソニックヘルスケア株式会社

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO バイオテクノロジー・医療技術部  担当:桐生、阪本、吉村  TEL:044-520-5231
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部  担当:上坂、佐藤、坂本  TEL:044-520-5151
E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp



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