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2022年07月13日 15:10 毎日新聞
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写真 東電の株主が旧経営陣5人に総額22兆円を東電に支払うよう求めた株主代表訴訟の判決を前に東京地裁に入る原告や弁護団=東京都千代田区で2022年7月13日午後2時半、西夏生撮影 |
東京電力福島第1原発事故が起きたのは旧経営陣が巨大津波を予見しながら対策を先送りしたのが原因だとして、東電の株主48人が同社の元役員5人を相手取り総額22兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟で、東京地裁(朝倉佳秀裁判長)は13日、勝俣恒久元会長(82)、清水正孝元社長(78)、武黒一郎元副社長(76)、武藤栄元副社長(72)の4人に13兆3210億円の支払いを命じる判決を言い渡した。民事裁判の賠償命令額としては過去最高。
原子力損害賠償法は原発事故が起きた際の電力会社の賠償責任を無過失で認めているため、法人としての東電に賠償を命じる判決は既に出ているが、旧経営陣の個人の賠償責任を認める判決は初めてとなる。
訴状などによると、政府の地震調査研究推進本部が2002年に公表した地震予測「長期評価」に基づき、東電は08年に高さ最大15・7メートルの想定津波を試算した。だが、東電は「長期評価は信頼性を欠く」として、土木学会に想定津波に関する検討を委託。防潮堤の建設や電源設備の浸水を防ぐ「水密化」の対策が取られないまま11年3月に東日本大震災が発生し、津波で浸水した原発は全電源を喪失して炉心溶融や水素爆発を起こし放射性物質が飛散した。
株主側は訴訟で、長期評価には科学的根拠があったのに、旧経営陣が津波対策を先送りしたと主張。10メートル超の津波が襲来する可能性を把握しながら、勝俣元会長ら4人と小森明生元常務(69)が会社に損害を与えないようにする取締役の善管注意義務を果たさなかったとした。請求額22兆円は、事故で東電が支出することになる賠償額や廃炉費用として見込まれる額から算定した。
これに対し、旧経営陣側は、長期評価は専門家の間でも信頼性に疑問の声があり、土木学会に検討を委託したことは合理的な経営判断だったと主張。仮に08年以降に津波対策を講じていたとしても大震災までに間に合わず、事故を防ぐことはできなかったと反論した。また、勝俣元会長と清水元社長は具体的な想定津波の報告を受けたこと自体を否定していた。
今回の訴訟で被告となった5人のうち、勝俣元会長と武黒、武藤両元副社長の3人は刑事裁判でも業務上過失致死傷罪で強制起訴され、東京地裁は19年に「巨大津波は予見できなかった」として全員を無罪とした。この裁判では、検察官役の指定弁護士が控訴しており、来年1月に控訴審判決が言い渡される予定。【遠藤浩二】
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