2015年9月27日日曜日

糖尿病患者の死亡率を3割減、エンパグリフロジンの効果とは



7千人のランダム化試験


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2型糖尿病の治療に使われるエンパグリフロジンは、血糖値を下げる効果のほか、体重を減らすなどとした報告もあります。その結果として心筋梗塞などの病気を減らすかどうかを調べる研究が行われました。 

2型糖尿病患者をエンパグリフロジンで治療

研究班は、2型糖尿病の患者を対象として、対象者をランダムに3つのグループに分け、エンパグリフロジンを1日1回10mg使用するグループ、1日1回25mg使用するグループ、偽薬を使うグループとして、それぞれ治療を行いました。
効果の評価として、心筋梗塞脳卒中などの心血管疾患による死亡、死亡に至らなかった心筋梗塞、死亡に至らなかった脳卒中のどれかが起こる頻度を調べました。

◆病気の頻度が少なく、死亡率が32%減

次の結果が得られました。
計7,020人の患者が治療された(観察期間の中央値3.1年)。
一次アウトカムの発生は、プールしたエンパグリフロジン群の患者4,687人中490人(10.5%)、偽薬群の患者2,333人中282人(12.1%)に見られた(エンパグリフロジン群でハザード比0.86、95.02%信頼区間0.74-0.99、優位性についてP=0.04)。心筋梗塞または脳卒中の発生率について群間の有意な差はなかったが、エンパグリフロジン群で心血管系の死因による死亡の率(偽薬群と比べて3.7% vs 5.9%、38%の相対リスク減少)、心不全による入院(2.7% vs 4.1%、35%の相対リスク減少)、全死因死亡(5.7% vs 8.3%、32%の相対リスク減少)は有意に低かった。
エンパグリフロジンを使用した患者の間で、生殖器系の感染症の発生率増加が見られたが、ほかの有害事象の増加は見られなかった。
3グループ合計7,020人が、およそ3年前後の期間にわたって治療され、その間に心筋梗塞脳卒中などが起こった頻度は、エンパグリフロジンを使ったグループのほうが、偽薬を使ったグループよりも少なくなっていました。
ほかの指標で比較すると、死因を問わないすべての死亡について、エンパグリフロジンを使ったグループでは、偽薬のグループに比べて死亡率が32%少なくなっていました

エンパグリフロジンは日本では2014年に承認されました。実際の治療でもこの結果に近い効果を挙げることができるか、また未知の副作用が発見されないかといったことは未知ですが、2型糖尿病治療薬の選び方に、この報告が今後影響することがあるかもしれません。

◆参照文献

Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes.
N Engl J Med. 2015 Sep 17 [Epub ahead of print]
[PMID: 26378978 ]

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