タバコ農園の地中から、ニコチンを減成する細菌が発見された。禁煙を目指す人のために利用できるようになるかもしれない。
TEXT BY ANNA LISA BONFRANCESCHI
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI
WIRED NEWS (IT)
タバコ農園の地中で発見された、特別な特徴をもつ細菌が、ニコチンを代謝することができる酵素をつくり出すことが判明した。炭素と窒素の唯一の供給源として、ニコチンを用いているのだ。
「スクリプス研究所(TSRI)」の研究者たちの考えでは、この酵素は将来、タバコをやめるための助けとして利用することができるだろうという。事実、ニコチンの減成を短時間で促進することによって、この物質が脳に到達して、元喫煙者を再び喫煙するように導く快楽と報酬の感覚に火をつけるのを妨げることだろう。
いまは研究者たちが説明しているように、まだ準備段階の研究にすぎず、主に細菌「シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)」から発見された問題の酵素「NicA2」の特徴を見定めることを目指しているところだ。これは、TSRIのキム・ヤンダのチームが、この微生物の中に天然で効力のある候補を見付ける前に、長い間実験室でつくり出そうと試みてきた酵素だ。
「Journal of the American Chemical Society」で発表された研究において、ヤンダと同僚たちは、この酵素が漿液の中で十分に安定していて、一見したところ有毒な代謝物をつくり出さないことを確認した。
その後、問題の能力の綿密な検査に移ると、タバコに平均的に含まれているのと等しいニコチンを加えられたマウスの漿液と混ぜ合わされたときに、NicA2がニコチンの半減期を2〜3時間から9〜15分に減らすことができると判明した。量をより多くするか、少しの変更により、この酵素がさらにニコチンの半減期を減らして、脳に到達するのを妨げることができると研究者たちは考えている。
もしすべてが期待されている通りに進めば、いまのところアイデアにすぎないものが、より実体のあるものになるだろう。禁煙する人を助けるための薬をつくることができるかもしれない。さらに言えば、頻繁に服用しなくてもいいように、1回のみの投薬で効果も長く持続してくれればいいのだが。
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