引用元(勉強の為に引用しました。):
http://qq.kumanichi.com/medical/2009/07/post-499.php
転移しない段階の早期の胃がんや食道がん、大腸がんを内視鏡の電気メスで広い範囲にわたり一気にはがし取るESD(内視鏡的粘膜下層切開剥離[はくり]術)という治療が県内でも注目されている。開腹せずに済み、患者の体への負担が少なく、今後の普及が期待されている。(高本文明)
一般に、腫瘍が粘膜の下にある粘膜下層に食い込んでいると、リンパ節に転移している可能性があり、胃や食道、大腸を大きく切除する必要がある。腫瘍の表面の模様などから、粘膜下層への食い込みが少ないと判断できれば、内視鏡で治療できる。
内視鏡での切除は、リンパ節に転移していない2センチ以下の腫瘍の場合が対象。しかし、2センチを超えると従来の方法では一度には取りきれず、分割して切除する。すると、がん細胞が残る可能性が高くなり再発の恐れが出てしまう。
そこで2~10センチ程度と大きな腫瘍でも切除できるのがESD。粘度の高い液体を粘膜の下に注入して、がんを浮かび上がらせ、特殊な形の電気メスで周囲に切り込みを入れ、一度にはがし取る。手術は1~2時間程度で済む。
ESDは2002年ごろから全国で少しずつ導入され始め、胃がんでは普及しているが、器具や手技の進歩で最近では壁の薄い大腸がんや食道がんにも応用されている。06年に早期胃がん、08年に早期食道がんが保険適応になったが、早期大腸がんは未適用だ。
日本消化器内視鏡学会評議員で、九州でただ一人ESD委員を務める尾田恭医師(46)=熊本消化器外科・村本病院、熊本大消化器内科非常勤講師=は、01年からESD治療を熊本で導入し、これまでに食道、胃、大腸の早期がんと、がんが疑われる病変について、約310人の治療に携わった。
尾田医師は「胃の壁の厚みは8ミリ程度だが、食道や大腸の壁は4ミリ程度と薄い。二枚下ろしのように二つに分離していく精密な技術で進める」と話す。
開腹手術を行う場合、術後に腸閉塞[へいそく]にかかるリスクがある。胃がんの場合、標準治療は開腹手術だが、胃を切り取ると、少量ずつ分けて食事を取らなければならない。食後に冷や汗、動悸[どうき]、めまいなどが生じるダンピング症候群、ビタミン不足や鉄分不足による貧血が起きることもある。
開腹せずに済むESDでは、患者の負担が軽く済み、回復が早く、入院は1週間程度という。特に食道がんでは、胸と腹部を切る手術となる場合もあるため、ESDを使うメリットが大きい。
県内では、同学会の指導施設などの消化器内視鏡専門医らが対応している。早期胃がんの場合、熊本市の熊本赤十字病院、済生会熊本病院、服部胃腸科、八代市の熊本労災病院、八代総合病院、人吉市の人吉総合病院など。早期食道がん、早期大腸がんに積極的に対応している施設は少ないという。
ただ、ESDは医師の手技の難易度が高く、技術の習得が難しい。不慣れだと患部を傷つけてしまう。ESDは、医療機関に熟練した医師がいるかどうかで対応が決まるといえる。学会が認定する専門医制度もまだなく、「医師の間で技術を普及させている段階。人材の育成が課題だ」という。
尾田医師は「ESDで治せる段階の早期がんを発見することや、範囲の分かりにくいがんを取り残しなく切除するため、正確な範囲や深さなどを精密に診断する能力が求められる。ハイビジョンズーム内視鏡やNBI(狭帯域光観察)システムなど最新内視鏡技術の習得は欠かせない」と話している。
関連情報:
引用元(勉強の為に引用しました。):
http://www.gan-senshiniryo.jp/cancer/cancer_03/standard_02.html
一般に、腫瘍が粘膜の下にある粘膜下層に食い込んでいると、リンパ節に転移している可能性があり、胃や食道、大腸を大きく切除する必要がある。腫瘍の表面の模様などから、粘膜下層への食い込みが少ないと判断できれば、内視鏡で治療できる。
内視鏡での切除は、リンパ節に転移していない2センチ以下の腫瘍の場合が対象。しかし、2センチを超えると従来の方法では一度には取りきれず、分割して切除する。すると、がん細胞が残る可能性が高くなり再発の恐れが出てしまう。
そこで2~10センチ程度と大きな腫瘍でも切除できるのがESD。粘度の高い液体を粘膜の下に注入して、がんを浮かび上がらせ、特殊な形の電気メスで周囲に切り込みを入れ、一度にはがし取る。手術は1~2時間程度で済む。
ESDは2002年ごろから全国で少しずつ導入され始め、胃がんでは普及しているが、器具や手技の進歩で最近では壁の薄い大腸がんや食道がんにも応用されている。06年に早期胃がん、08年に早期食道がんが保険適応になったが、早期大腸がんは未適用だ。
日本消化器内視鏡学会評議員で、九州でただ一人ESD委員を務める尾田恭医師(46)=熊本消化器外科・村本病院、熊本大消化器内科非常勤講師=は、01年からESD治療を熊本で導入し、これまでに食道、胃、大腸の早期がんと、がんが疑われる病変について、約310人の治療に携わった。
尾田医師は「胃の壁の厚みは8ミリ程度だが、食道や大腸の壁は4ミリ程度と薄い。二枚下ろしのように二つに分離していく精密な技術で進める」と話す。
開腹手術を行う場合、術後に腸閉塞[へいそく]にかかるリスクがある。胃がんの場合、標準治療は開腹手術だが、胃を切り取ると、少量ずつ分けて食事を取らなければならない。食後に冷や汗、動悸[どうき]、めまいなどが生じるダンピング症候群、ビタミン不足や鉄分不足による貧血が起きることもある。
開腹せずに済むESDでは、患者の負担が軽く済み、回復が早く、入院は1週間程度という。特に食道がんでは、胸と腹部を切る手術となる場合もあるため、ESDを使うメリットが大きい。
県内では、同学会の指導施設などの消化器内視鏡専門医らが対応している。早期胃がんの場合、熊本市の熊本赤十字病院、済生会熊本病院、服部胃腸科、八代市の熊本労災病院、八代総合病院、人吉市の人吉総合病院など。早期食道がん、早期大腸がんに積極的に対応している施設は少ないという。
ただ、ESDは医師の手技の難易度が高く、技術の習得が難しい。不慣れだと患部を傷つけてしまう。ESDは、医療機関に熟練した医師がいるかどうかで対応が決まるといえる。学会が認定する専門医制度もまだなく、「医師の間で技術を普及させている段階。人材の育成が課題だ」という。
尾田医師は「ESDで治せる段階の早期がんを発見することや、範囲の分かりにくいがんを取り残しなく切除するため、正確な範囲や深さなどを精密に診断する能力が求められる。ハイビジョンズーム内視鏡やNBI(狭帯域光観察)システムなど最新内視鏡技術の習得は欠かせない」と話している。
関連情報:
引用元(勉強の為に引用しました。):
http://www.gan-senshiniryo.jp/cancer/cancer_03/standard_02.html
胃がんの治療―1.内視鏡的切除
・身体的な負担の軽い手術で、治療後のQOL(生活の質)も低下しない。
・2つの方法があるが、ESDのほうが確実にがんを切除できる。
内視鏡的切除は、口から胃に内視鏡を送り込み、内視鏡の先端から出した治療器具で、がんのできている粘膜を切除する治療です。手術に比べると患者さんの身体的な負担が軽いのが特徴です。また、治療によって胃が小さくなることもないため、治療後のQOL(生活の質)を低下させません。
治療の方法としては、「EMR(内視鏡的粘膜切除術)」と「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」という2つの方法があります。
図1:EMR(内視鏡的粘膜切除術)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
種類名 | 手順 | 適するがん |
---|---|---|
EMR (内視鏡的粘膜切除術) |
平坦な腫瘍の場合は、粘膜下に生理食塩水やヒアルロン酸を注入して、がんのある部位を隆起させる。
スネアで締め付けて、隆起させて切除。
| 一度の切除が2cm位までの小さながん。 |
ESD (内視鏡的粘膜下層剥離術) |
粘膜下に生理食塩水やヒアルロン酸を注入して隆起させた周囲を電気メスで切る。
電気メスで、がんのできている部分をめくってはがすように切る。
| 平坦な腫瘍や2cm以上のがん。 健常な組織をなるだけ残しつつ、EMRより確実に腫瘍を切除できる。 |
一般的には、小さながんであればEMRでも切除でき、大きく広がったがんの治療にはESDが適しているとされています。しかし、より確実にがんを取り除くことができるのはESDのほうです。そのため、最近では、小さながんに対しても、ESDが行われることが多くなっています。
内視鏡で切除された粘膜組織は、病理検査に回され、がんの深達度や悪性度などについて調べられます。その結果から、内視鏡的切除に適していたかどうかの判定が行われるのです。その結果、内視鏡的切除が適さない胃がんであることがわかった場合には、手術が必要になります。
内視鏡的切除では、リンパ節は取れないので、リンパ節転移が起きていないことが、この治療を行う前提となります。内視鏡でがんを確実に切除できれば、再発してくる心配はほとんどありません。日常診療では、下記のような条件がそろっている場合にはリンパ節転移が起きていないと判断して、この治療が適応となります。
表1:内視鏡的切除術の適用条件
・粘膜に限局している。
・分化型(悪性度が低いタイプ)である。
・大きさが2㎝以下である。
・潰瘍がない。
・分化型(悪性度が低いタイプ)である。
・大きさが2㎝以下である。
・潰瘍がない。
上記の条件がそろわない場合は、手術となります。ただし、臨床研究としてならば、適応条件が拡大され、下記の3パターンのいずれかに当てはまる場合は、ESDを受けることも可能です。
表2:内視鏡的切除術の適用条件拡大
パターン1 | パターン2 | パターン3 | |
---|---|---|---|
位置 | 粘膜に限局している | ||
悪性度 | 分化型(悪性度が低いタイプ) | 未分化型(悪性度が高いタイプ) | |
大きさ | 2㎝を超えている | 2㎝以下である | |
潰瘍の有無 | ない | ある | ない |
この条件に当てはまる場合でも、リンパ節転移が起きている可能性が2~3%あるので、適応拡大でESDを受けるか、手術を受けるかについては、それぞれの治療の利点とリスクをよく理解して、選択することが大切です。
適応拡大でESDを受けた場合には、再発の可能性が若干残ります。再発は、治癒を目指すことが困難です。
手術を受けた場合には、QOLの低下は避けられませんが、その程度は手術の種類によってかなり違いがあります。手術を受けるとしたら、術式についても説明を受け、判断材料にするとよいでしょう。
適応拡大でESDを受けた場合には、再発の可能性が若干残ります。再発は、治癒を目指すことが困難です。
手術を受けた場合には、QOLの低下は避けられませんが、その程度は手術の種類によってかなり違いがあります。手術を受けるとしたら、術式についても説明を受け、判断材料にするとよいでしょう。
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