理研は発表文で、この新たな技術によって表皮だけでなく真皮、皮下脂肪の3層からなる複雑な構造の皮膚の再生ができるとしています。具体的には重いやけどや、外傷で皮膚機能を失った場合でも移植によって発毛や汗腺、皮脂腺を含むもとどおりの皮膚を再生できるわけです。さらには分泌線異常や抜け毛にまで応用できる可能性があり、腋臭や脱毛症といった本人にとっては大きな悩みとなり得る疾患を根本的に治せるようになるかもしれません。
マウスを使って行われた実験ではマウスの歯茎から採取したiPS細胞を胚様体と呼ばれる塊に形成、これを複数、コラーゲンで包んでマウスに移植したところ、30日後には天然の皮膚と同様の構造を持つ再生状態が得られました。
そして、このiPS細胞で再生された皮膚の器官である毛包、いわゆる毛穴の部分を集めて別のマウスに移植すると、こんどは正常に機能する毛包が再生し、実際に発毛、生え変わりもできたとのこと。またこの毛は皮下で立毛筋と神経組織がつながっており、温度などによって鳥肌を立たせることもできるとしています。
今回の技術はiPS細胞をマウスに移植して再生させています。理研は、もし人間へこの技術を応用するには、生体内移植なしに皮膚器官系の再生が可能になる必要があるとしつつも、10年以内にはこの技術を応用した臨床試験を開始したいとしました。
この技術が順調に実用化されれば、もしかすると十数年後には分泌異常からくる体臭や若ハゲに悩む人はいなくなっているのかもしれません。
[Images : RIKEN]
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