引用元:
http://news.mynavi.jp/news/2015/02/13/512/
2015年2月12日、国立生育医療研究センターは、同センターの研究チームがヒトiPS細胞から、軸索をもつ視神経細胞を作製することに成功したことを発表した。研究成果は2015年2月10日から、SCIENTIFIC REPORTSのオンライン版で公開されている。
背景
眼は視神経を通じて脳と直接つながっている。網膜に届いた視覚情報は、受容器である視細胞で修飾され、網膜神経節細胞の長い軸索によって、視神経を通して脳に到達する。視神経の障害は、重篤な視力障害につながる。視神経炎や神経症、虚血、外傷などがその原因となる。そのなかで緑内障は40歳以上の日本人で5%が罹患するといわれ、わが国の失明原因の第1位を占めている。
病態解明や薬剤スクリーニングや薬剤の効果判定には、動物の視神経細胞を培養しているが、動物の視神経では神経線維(軸索)を持たないことから、ヒトへの応用性に関しては疑問を持つ人が多かった。
iPS細胞により網膜の作製が可能となっているが、未熟で神経線維(軸索)の発生は未だ実現していない。
研究成果
ヒト皮膚由来のiPS 細胞を培養し、外から形態形成遺伝子などを導入することなく、培養条件のみによって、iPS 細胞から網膜神経節細胞に分化させることに成功した。
作製された神経細胞は1~2cmの神経線維(軸索)を持っていた。免疫染色、電子顕微鏡観察、分子生物学的方法により、神経線維を持つ視神経細胞であることが確認されている。
神経としての機能に関しても、電気生理反応的に確認。
今後の展望
この技術を用いて、視神経として機能を持つヒト視神経細胞の培養細胞を実験に供することが可能となった。
また、緑内障の患者由来のiPS細胞から視細胞を作製することにより、病態の解明やより確実な薬剤スクリーニングが可能になる可能性がある。
(画像はプレスリリースより)
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