先日、機会があり鹿児島県指宿市を訪れました。薩摩半島の最南端にあり、天然砂蒸し温泉を筆頭に、江戸城を無血開城させた影の立役者として有名な天璋院篤姫が幼少時代を過ごした地(現JR今和泉駅)、池田湖のイッシー(未確認生物だが、おそらく巨大うなぎと言われている)、幕末の豪商・濱崎太平次を生んだ町などとして有名です。
介護施設とコンビニが目立つ町で見つけた1人乗り電気自動車
とてものどかな町というのが最も適切な表現ですが、少子高齢化と人口減がここでも感じられます。町を車で走ると頻繁に目に入るのが、高齢者向け介護施設です。その次に目につくのはコンビニです。商品の品揃えは都会と全く同じであり、消費という観点では日本列島が均質化していることを実感できます。
今回、特に驚いたのは、コンビニの店頭に1人乗りの電気自動車(以下、EV)が置かれていたことでした。セブイレブンでは、2012年からEVを利用した宅配サービス(セブンらくらくお届け便)を開始していますので、もしかしたら、すでに一部の読者の方にはおなじみなのかもしれません。しかし、筆者にとっては初めてであったこと、それも薩摩半島の最南端のコンビニでの出会いであったことから、大きなサプライズでした。
日本の高齢化問題と超小型EV
このEVの車名は「コムス」、トヨタ車体(トヨタ自動車の子会社)の製品です。バッテリーだけで走るEV車であり、密閉型鉛電池はパナソニック製です。1回の充電での走行可能距離は約50Km、家庭用100V電源からの充電が可能で、充電時間は約6時間ですので、コンビニの宅配用としては十分な性能を満たしています。
ちなみに、コムスは道路運送車両法上の「第一種原動機付自転車(四輪)」で、車庫証明、車検、重量税、取得税は必要ありません。また、運転には普通自動車免許が必要ですが、ヘルメットや二段階右折の必要はありません。
コムスのウェブサイトによると、価格は68万7,085円(メーカー希望小売価格、税込み)からですが、経済産業省が実施している「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」の対象になっているため、最大7万円の補助金を利用できるそうです。
セブンイレブンの店員に聞いたところでは、固定客に対しての定期的な配送を中心に活用しているとのことでした。コムスを眺めていると、買い物に頻繁に出かけることができないお年寄りに優しいサービスを行っている姿が目に浮かび、心が温まる思いがしました。
昨年、「消滅可能性都市」を発表した日本創成会議では、地方のみならず東京圏でも急速な高齢化が深刻な問題になることに着目しています。都市部でも、コムスのような超小型EVによるコンビニの配達が身近なものになる日が遠くないのかもしれません。
【2015年10月15日 和泉 美治】
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