米Oracle CEOが見据える10年後のクラウド環境
Oracle OpenWorld 2015基調講演
(2015/10/28 06:00)
米Oracle Corporationは10月25日~29日(米国時間)の5日間にわたり、米国サンフランシスコでOracle OpenWorld 2015を開催中だ。26日午前には、同社CEOのMark Hurd(マーク・ハード)氏による基調講演が行われた。
ハード氏はまず、「現在のオンプレミスでのIT運用モデルでは持続的ではない」(The Current On-Prem IT Operation Model is Unsustainable.)、「より優れたやり方が存在する:クラウドコンピューティングだ」(There is A Better Way: Cloud Computing.)と前提した上で、10年後の2025年のビジョンとして、5つの予測を語った。
・予測1:2025年までにアプリケーション製品の80%はクラウドで稼働している(By 2025, 80% of Production Apps will be in the Cloud.)
・予測2:2025年までに、アプリケーションスイートの提供ベンダー2社が市場の80%を獲得している(By 2025, Two Suite Providers will have 80% of the SaaS Market.)
・予測3:開発/テスト環境は2025年には100%クラウド化されている(100% Of New Dev/Test Will Be Cloud In 2025.)
・予測4:2025年には事実上すべての企業データはクラウド上に保存されている(By 2025, Virtually All Enterprise Data Will Be Stored In Clouds.)
・予測5:2025年には、エンタープライズクラウドはもっとも安全なIT環境となっている。Oracleは現時点で既にそうなっているが(By 2025, Enterprise Clouds Will Be The Most Secure IT Environments. Oracle Is There Today.)
という5つの予測だ。クラウドへのシフトは一時的なトレンドなどではなく、根本的かつ不可逆な転換だと考えていることを明確に示したものと言えるだろう。
なお、Mark Hurd氏は基調講演の後、アジア太平洋地域のプレスを対象にQ&Aセッションを行った。そこでのHurd氏の発言もまとめて紹介しておきたい。
「OracleはB2B市場でビジネスを行う企業であり、B2Cはターゲットとしていない。B2Bに限っても市場は拡大を続けている。現在Oracleは知的資産をクラウドに移すという作業を精力的に進めている段階だ。ただし、これによってオンプレミス向けのビジネスが犠牲になることはない。オンプレミスもクラウドも両方サポートできる形で進めており、失われる市場というものは存在しない」。
「クラウドに関しては、アプリケーション、プラットフォーム、インフラストラクチャの3つの領域があるが、Oracleがもっとも重視しているのはやはりアプリケーションの部分だ。ここでは、Oracleが持つ知識や経験、知的資産がもっとも生かせ、競争力の高い分野だ。競合していたSAPは、アプリケーションをクラウド向けに書き直すという作業には着手していないため、当社とは大きな差がついた。SAP HANAが今後SAPアプリケーションのためのプラットフォームとして採用され、Oracle Databaseからリプレースされるとしても、Oracleにとっては、もともとSAPアプリケーション用として使われているデータベースは全体に比べた比率はごくわずか、数%といった規模なので大した打撃にならないし、アプリケーションのレイヤでOracleのアプリケーションを選ぶ顧客にとっては、プラットフォームの部分では当社が競合と同等のコストパフォーマンスを提供できていれば、ほかのプラットフォームを選ぶ理由はないだろうから、アプリケーションの分野で競合優位性を発揮できていれば、ほかの分野でも結果は付いてくるものと考えている。」
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