人類が描く夢のひとつである「不老」が実現するかもしれない。13日、都内で「老化は病気であり、治療することができる」と銘打った講演が行われた。
熱弁をふるったのは米研究者でバイオテクノロジー企業シエラサイエンス社の社長兼CEOのビル・アンドリュース博士(63)。ビル氏はヒト細胞のテロメア短縮による人間の寿命延長の研究者として、世界中にその名をはせる人物だ。
テロメアとは細胞内の染色体の先端部のこと。細胞分裂するたびにテロメアは少しずつ短くなり、それによって老化が現れる。テロメアは受胎時、1万5000塩基あり、生まれる際に1万塩基まで減る。5000塩基まで下がると死亡する。
ビル氏によれば、適度な食事や運動などを心がけても、この流れにあらがうことはできず、自然に生きると人間は計算上、最高125歳までしか生きられないという。
このテロメアを保護し、修復するのがテロメラーゼという酵素だ。ビル氏はこのテロメラーゼの発現を活性化する研究をしており、これまでテロメアに影響を与える化学物質を900以上発見。テロメラーゼに関する特許を43個取得している。
テロメアの保護・修復によって「老化を止めるのではなく、戻すことができる」とビル氏。すべての細胞にテロメラーゼを発現させれば150歳まで生きることが可能になる。また、英国ではテロメラーゼの発現でマウスの認知症が治ったという研究結果も報告されている。
ビル氏が開発した最新のテロメラーゼ誘導活性物質「TAM―818」は外用では承認を得ており、すでにハンドクリームが発売されている。今後は内服の承認を得て展開していく見込みだ。
不老による寿命延長が実現すれば、社会構造にも大きな影響を与えることになる。人類の未来は果たしてどうなるのか。
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