2015年10月14日水曜日

メラノーマを治療するウイルスが癌細胞を破壊、T-VECで進行


切除不能進行悪性黒色腫の患者436人の第3相ランダム化試験


写真はイメージです。本文の内容とは関係ありません。 (C) Jezper - Fotolia.com


ウイルスを利用してがんを治療する方法が研究されています。皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)の患者に対して実際に使った研究が行われました。 


ヘルペスウイルスを改変

タリモジーン・ラハーパレプベック(Talimogene laherparepvec、T-VEC)は、単純ヘルペスウイルス1型をもとに作られた治療薬で、がん細胞の中で増殖するとともに、免疫細胞を刺激する物質(GM-CSF)を作り出すことで、細胞を破壊させるとされています。
この研究は、手術ができない進行した悪性黒色腫をT-VECで治療する効果を調べました。436人の患者が対象となり、T-VECを使うグループと、GM-CSFの注射を受けるグループにランダムに分けられ、それぞれ治療を受けました。

◆反応があった割合が大きい

次の結果が得られました。
ランダム割り付けされた436人の患者の間で、持続応答率はGM-CSF群(2.1%、95%信頼区間0%-4.5%)に比べてT-VEC群で有意に高かった(16.3%、95%信頼区間12.1%-20.5%、オッズ比8.9、P<0.001)。
T-VEC群で最も多く見られた有害事象は疲労、悪寒、発熱だった。T-VECで治療された患者の2%以上に起こったグレード3または4の有害事象は蜂窩織炎だった。
T-VECを使ったグループで、6か月以上続く効果が見られた人の割合が16.3%であり、GM-CSFを注射したグループの2.1%よりも多くなりました

がんをウイルスで治療する方法として、2015年10月時点で広く使われているものはありませんが、T-VECのほかにも、子宮頚がんや頭頚部がんの治療が目指されているアクサリモジーン・フィロリスバック(Axalimogene Filolisbac)など、いくつかの研究が行われています。
今後実際の治療に加わることができるかどうかは未知ですが、期待のかかる分野です。

◆参照文献

Talimogene Laherparepvec Improves Durable Response Rate in Patients With Advanced Melanoma.
J Clin Oncol. 2015 Sep 1
[PMID: 26014293 ]


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がん細胞だけを殺すウイルス関連情報は、東京大学医化学研究所付属病院のウイルス療法でがんを治す方法が有名です。

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