ダイバーシティ(多様性)とは:
* 直訳すると、「幅広く性質の異なるものが存在すること」「相違点」
組織でのダイバーシティ(多様性)とは:
* さまざまな違いを尊重して受け入れ、「違い」を積極的に活かすことにより、変化しつづけるビジネス環境や多様化する顧客ニーズに最も効果的に対応し、企業の優位性を創り上げること
ダイバーシティ・マネジメントとは:
いろいろな定義がありますが、いくつかを挙げるとー
* 誰も有利または不利にせず、全従業員が生産性高く働くことができる環境を築き上げる統合的なマネジメントプロセス(ハーバードビジネスレビュー)
* A comprehensive management process for creating an environment that enables all members of workforce to be productive without advantaging or disadvantaging anyone. (Harvard Business Review)
* 多様性を促進し、最大限活用することにより、企業パフォーマンスを向上させる環境を創る組織的プロセス
ダイバーシティの基本概念と目的
ダイバーシティの基本概念は、
・個々人の「違い」を尊重し受け入れる
・「違い」に価値を見つける
・職務に関係のない特質を無視し、個人の、成果、能力、貢献だけを考慮する
・「違い」に係わらず、全社員を組織に平等に参加させ、能力を最大限発揮させる
これらを実行することにより、「組織のパフォーマンスを向上させること」がダイバーシティの目的です。
ダイバーシティを成功させている企業は、多様な人材の採用や定着ではなく、その先の「活用」にフォーカスをしてダイバーシティに取り組んでいます。同時にこれは企業内の人材をひとりも無駄にしないことを意味します。
「変化への対応」としてのダイバーシティ
一般的にダイバーシティは性別、年齢、国籍など、外見でわかる属性と捉えられますが、表面的には見えない個々人の生い立ち,価値観、性格などの異なった背景や状況をも含み、すべての人々を示すものです。
企業がダイバーシティへの重要性を認識し、積極的に取り組むようになった理由は、従来の画一的な企業の制度や考え方が激変するビジネス環境にそぐわなくなったからです。例えば、少子高齢化やグローバル競争などの変化が激しい現在において、一昔前に成功した「日本人・男性・大卒・正社員」に最適な人事システムが、企業競争力を低下させていることにも見られます。海外の企業は「生き残りをかけた変化への対応」として、ダイバーシティを強力に推進しているのです。
ダイバーシティの成功に不可欠な意識と行動変革
ダイバーシティ推進のための制度や仕組みは非常に重要です。しかし、それだけでは不十分だということが、多くの多国籍企業でダイバーシティが進む中、明確に現れました。「社員の多様性を尊重して受け入れ、能力をフルに発揮させる」と言うことは簡単ですが、実践することはとても難しいのです。
その後、さまざまな試行錯誤と調査により、マネージャーと社員の適切な意識と行動変革によって、多様性を活かし、競争力向上につなげることができることがわかりました。それらの経験と結果に基づき、特に2000年以降、革新的企業は意図的に努力して、マネージャーと社員の「意識と行動変革」に力を注いでいき、ダイバーシティのメリットを多く受けていったのです。
日本でも、多様な人材のための制度が整った企業は増えてきました。制度や施策の次のステップとして今後は、多様性を尊重し、浸透させるための意識と行動変革により、ダイバーシティを大きく前進させることができるでしょう。
ダイバーシティのメリット
・多様な能力・価値観・発想を持った人材の活用
・多様化・複雑化する顧客ニーズへの効果的対応
・創造性・問題解決力向上
・チームパフォーマンスと生産性向上
・パワーハラスメント削減
ダイバーシティの上記のメリットは多くの実例や調査によって証明されました。しかし、ダイバーシティの主要な課題のひとつは、あらゆる多様性がトラブルの原因になり、まさつ、あつれき、や誤解を生じさせること。その結果、チームの生産性やパフォーマンスが低下してしまうのです。
重要なのは、制度を充実させ多様な人材を「採用・定着」させるだけでなく、ダイバーシティを上手にマネージする環境やスキルを提供し、さらに全社員の態度と行動に反映させることにより、ダイバーシティを浸透させていくこと。
多様性が全社員の能力発揮と競争優位性に結びつくには、企業がダイバーシティに取り組む強い目的と意思を持ち、「意識的に努力」してアクションを取ることが求められるのです。
世界的に加速度的な変化が進み、国内外での競争が激化する中、日本でも働く人々の属性や価値観が多様化し、消費者ニーズの多様性も進んでいることは無視できません。社員一人ひとりの違いが不利にならず、全社員が持っている能力と可能性をフルに発揮して貢献できるよう、ダイバーシティを推進していくことが企業の将来の繁栄へつながっていくでしょう。
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