[2013年12月09日(Mon)]
引用元:
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/199 「ホリエモンが語る刑務所からの“社会復帰”」と題したブロガーミーティングが11月27日、東京・赤坂の日本財団ビルで開かれた。ブロガーら100人が詰めかける中、ライブドア創業者で証券取引法違反で実刑判決を受け長野刑務所から今年3月に仮釈放された堀江貴文さんが、『反省させると犯罪者になります』の著者、立命館大産業社会学部教授の岡本茂樹さんと対談。刑務所内での体験を踏まえ、再犯を防止するため刑務所の中に開放的な社会との中間的施設をつくることなどを提言した。 体験を語る堀江貴文さん |
ブロガーミーティングは日本財団とネットメディアのBLOGOSの共催で、ブロガーの交流や情報発信の場として開催しており、今回は6回目。一般刑法犯が減少する半面、再犯率は2012年に43.8%と過去最悪を記録した。刑務所から出所しても生活ができず、再び犯罪に手を染めてしまうという構造的な問題が指摘されている。冒頭あいさつした同財団の笹川陽平会長は、出所後の就労を支援する「職親プロジェクト」や奨学金制度を作って資格取得に取り組んでいることなどを紹介、「出所した方に、夢と希望と愛情を掛けることで信頼関係をつくるようにしないと問題は解決しない」と述べた。
笹川陽平日本財団会長 【刑務所体験】 対談は堀江さんの刑務所体験から始まった。長野刑務所の外気は冬季に氷点下15度まで下がるが、居室にはストーブはなく支給される毛布も1枚だった。「寒くて死にそうだ」と何度も手紙を書いたら、翌年からは暖房が入り毛布も2枚支給されるようになった。入所した年は、原稿を書いたノートを面会に来た人に渡すことも、郵送で送ることも禁止されたが、翌年に担当責任者が交替したら許されるようになった。 「責任者が替わるごとに規則も変わることは、受刑者の社会復帰に大きな問題をはらんでいる」と岡本さんは指摘する。受刑者が更生できない一番の理由は、自分の意思を殺して刑務官の言うことに従順に従うこと。受刑者の最大の目標は早く仮釈放を受けることだから、刑務官に全く逆らえない構造ができている。本当に必要な人とつながって社会で働くことが欠落している。 立命館大産業社会学部の岡本教授 【反省では立ち直らない】 岡本さんがもう一点強調したのが、受刑者は被害者への憎悪や裁判への不満など否定的感情を持っていること。刑務所に入った最初の段階でしっかりと話を聞いて心の整理をして不満を取り除かないと、最後まで自分と向き合えない。(堀江さんが「反省している態度を示さないと仮釈放がなくなると思ってしまう」と反論したことに)「すみません。ごめんなさい」では上辺だけの言葉と反省を繰り返すことで、人間はどんどん悪くなる。なぜそうなったのか、過去にどういうことがあったのか、幼少期まで遡り本音を引き出す必要がある。 【刑務作業の問題】 再犯率の高さの背景の一つが、出所者が手に技術を持たないこと。堀江さんは「中の工場の刑務作業は改善の余地が山ほどある」。作っているものが売れず、社会に出ても何のスキルにもならない仕事ばかり。更生の場としては全く機能していない。この結果、満期出所しても2万~3万円のわずかな作業報奨金で、住む所にも困る状態だ。特に高齢者は社会に放り出されるようになってしまう。受刑者の半分は刑務所にいるのが幸せではないかと思う。(再犯を防ぐため)刑務所の中に開放的にできる何か刑務所と社会の中間的な施設をつくればよい。 岡本さんからは米国にアミティという施設があり、元受刑者が刑務所に入って支援している、という説明があった。 【厳罰化】 堀江さんは近年、法律の厳罰化が進み刑務所に入る人が増える、と指摘した。実刑となった証券取引法違反は懲役の上限が5年だったのが、ライブドア事件のさなかに10年に引き上げられた。自動車事故関連の法律も以前は業務上過失傷害罪で上限が5年だったが、現在は危険運転致死傷罪ができて懲役の上限が重くなった。著作権法違反もそうだ。最近では風営法違反でダンスを無許可で行ったと摘発されている。犯罪者を増やす方向に進めている。これで何か良くなるのか疑問だ。 岡本さんは被害者の視点と加害者の視点に分ける必要があると、主張した。悪いことをしたのだから厳罰にしてほしいというのは被害者の思いだ。だが、加害者に厳罰を下しても犯罪の抑止力にならないことは歴史が証明している。厳罰化の方向はマスコミにも責任がある。報道が被害者サイドに焦点を当てるから誘導されてしまうからだ。 白熱する対談 【質疑応答・提言】 最後に、増加する一方の再犯率を抑制するにはどうすべきか、2人は会場からの質疑応答での発言を含め提言した。 岡本さんはまず刑務所の中のことを知ってほしい、と述べた。判決が出ると報道はそこで終ってしまう。その後受刑者が何をしているか伝えることが大事だ。時代や社会が変わっているのに刑務所の矯正は全く変わっていない。刑務所が受刑者に本当に向き合い、反省するという空気感を根本的に見直し、素直な気持ちを言い合えるよう構造改革を進めたい。 堀江さんは「新規に犯罪に走る人よりも、再犯者のほうが問題だ。社会をよくするには再犯者を減らすほうが近道だ」と指摘。そのためには刑務所を改革して再犯率を50%だったのを20、30%にするなど目標を立て、(従来の矯正方法ではなく)プログラムを1から作り直す。それを実行するのはマスコミが変わる必要があるが、マスコミのレベルは自分たちのレベルであり、結局、市民1人ひとりが意識改革をしなければならない。(花田攻)
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